CSV経営・健康経営時代の「企業×森林」フォーラムⅡ
~“企業・医療保険者×農山村地域”で実現する、SDGs時代の健康づくり・森づくり〜

さて、私の同級生の中には、つぎのような人たちがいます。『朝、遮光カーテンで日の出を知らず、電子音で目が覚め、化学物質で洗顔し、アスファルトの上を歩き電車に乗る。情報収集はスマートフォンを使って車内でやります。空調完備のオフィスでパソコンと向き合って数時間。昼食はコンビニ、ときに癒しのために“せせらぎのCD”を聞く。仕事帰りにスーパーで出来上がりの総菜を購入し、電子レンジで温めて食べる。テレビを見て、塩素入りの風呂に入って、日の入りから数時間後の深夜に消灯する。』といった人たちが大人でもいるのです。このような人たちは、東京にもたくさんいると思います。この人たちにどうやって自然のリズム、自然の体感を提供するのか、と考えると、これは森しかないと思うのです。森は宝の山で、いっぱいあるのですから、これからどんどん使っていくべきだと思います。

さて、私は産業医をしていますが、健康診断の結果に基づいて「ほんとに病気の人は病院に行って」と、そして「完全に健康な人は今まででいいよ」と言うのですが、実際にはこの画面のようにグレーゾーンの人が圧倒的に多いのが現状です。そして、この人たちの受け皿はどこなのか?と考えるのです。そこで、先ほどから、お話しのあった様々な企業が行っておられる先駆的な取組で、この人たちを少しでも多く、グレーゾーンからいかに白の方に持っていくかということが大変重要なのだと思っています。

2025年、『地域包括ケアシステム』の構築を目指す動きがあります。これは幅の狭い医療機関や介護だけが一緒になる地域包括ではありません,広義の保険外の分野も含めた地域包括ケアシステムを地域で構築してください、という画期的な動きです。これは、厚労省のみならず、農水省、経産省の連名でのガイドブックも出ていまして、それから抜粋したものです。

ですから広い意味で言うと、地域・森などの自然資産をうまく活用する、特に地方においては、やらなければならないことが数年先に迫っていることになります。この地域包括ケアシステムに関しては、書いてありますように、研究班班長が、質問に答える形で話しているのが、『地域』の規模はどれくらいなのか、というのに対して『中学校区』の規模と言っていて、意外と狭いのです。このシステムを英語で言うと「Integrated Community Based Care System」としており、統合的なコミュニティ(中学校区規模)で社会モデルを含めてやっていくように、ということを言っているわけです。

朝霧高原では、森林の様々な可能性があるので、その森林資源を使ってのツーリズムということを始めています。

実際に2018年のプログラムの一部を紹介します。食事分野1つをとっても、学会レベルであるとか、ハーブを使うとか、地域移住の観点であるといった、切り口があります。また、随時行っているのが企業の健康に関する幹部のための勉強会があります。これらを、さまざまなニーズに合わせてコーディネートして提供しています。

先ほどから繰り返していますように、森林資源は宝の山なのです。地域医療の点でも、少なくとも看護師さんの募集をしなくても、関心を持ったり、応募されたりします。これは地域の健康増進活動につながるし、地域創生にも貢献します。そしてツーリズムを通して、持続可能な地域作りについて将来が見えてきます。森林資源の活用は幅が広いと感じているのです。

次にこれは、総務省の『休みの呼称』と時間を表したもので、『マインドフルネス』と自然資産の利用ということで使っているものです。会社に勤める人に、山に住んでくださいと言っているわけではなく、ちょっとした時間に自然を感じられる『マイスプレー』とか『マイハーブティー』とか『マイセラピスト』とか、時間があったら山に来てください、と話をしています。先ほど李先生からお話しがあったように、月に1回は来てほしい、と思っています。ストレス対策としては、自分の手持ちのカードを持っていると、ストレスに対抗しやすいですし、リセットしたり、癒されたりする方もいます。適時、個々に合わせたツールを提供したり、アドバイスしたりするということが、今後、産業医としても重要になってくると思っています。

中長期的にみて、朝霧高原診療所の運営は保険財政の悪化や人口減少に伴い、縮小の方向となるでしょう。一方で、観光、地域創生は、国策と合致していますし、世界の裕福層の増加などを考慮すると、可能性がある分野・領域と考えています。医療の部分では縮小しても、他の2施設は確実に伸びています。この分野で運営や利潤を相殺して地域医療を維持・存続していければいいなと考えています。

また今後は、地域包括ケアシステムとしての活用や宿泊型保健指導プログラムの活用が大事であると思っています。看護師さんは普通の病院ではなくこのようなところで働きたいと思っている人も少なくなく、これからも応募が続くと考えています。

それから、何度も出てきましたように、医療は治療型から予防・養生型の時代になってきていて、特徴ある医療機関であることが大事です。さらには、ツーリズムを含めた地域活性、これが、田舎、森林地域とって本当に大事ではないかなと思っています。ちょっと早足で申し訳なかったところですが、田舎の一開業医の話ということでお聞きいただければいいかなと思います。

ご清聴ありがとうございました。

 

写真:登壇者の皆様

(了)