CSV経営・健康経営時代の「企業×森林」フォーラムⅡ
~“企業・医療保険者×農山村地域”で実現する、SDGs時代の健康づくり・森づくり〜

次に、NK活性は1日目から上昇することがわかりました。さらに1週間後の検査では、NK活性はほとんど低下しておらず、これは森林浴の1日目とほとんど変わりがないという結果でした。1ヶ月後の検査では低下していたものの、まだ有意差がありました。ということで、これらのことが何を意味するかといいますと、ひと月に1度の2泊3日の森林浴をすれば、森に行く人のNK活性は常に高いレベルで維持されるということがいえるということです。これは、予防医学では非常に意味が大きいことです。

 

検査では、同時にNK細胞の数も計ってみたところ、結果はNK活性とほぼ同じ傾向で、森林浴前より高くなって多くなり、1ヶ月くらい持続していることがわかりました。さらに抗がんタンパク質については、パーフォリン、グランザイム、グラニューライシンはこの図に表したとおり、森林浴後に確実に上昇し、最終的に低下してはいくものの、1ヶ月過ぎても森林浴をする前より高いことがわかりました。

ただ、このデータは男性のものです。実は男性のデータを学会で発表したときに会場から、男性で効果があることはわかったけれども女性ではどうなのですか、という質問がありましたので、女性についても同様に、今度は信濃町で実験を行いました。そのときの天候は雨でしたが、雨の日の森林浴もとてもロマンチックで楽しいものでした。

 

結果はこのようになり、内容は、ほぼ男性と同じ傾向で、森林浴をする前、1日目、2日目、1週間後、そして1ヶ月後には有意差はなくなっているものの、森林浴をする前よりまだ高い数値を維持しています。そしてこの図(右下のグラフ)は抗がんタンパク質の結果を表しており、男性のデータと全く同じですので説明は省略します。

次はストレスと免疫の関係を表した図で、このとおりストレスが免疫力を抑制する一方で、森林浴はストレスを減少させます。そうすると、ストレスによるNK活性の抑制が解除されます。この結果としてNK活性が上昇して回復します。これがそのメカニズムです。さらに、森林浴には、直接的なメカニズムと間接的なメカニズムの2つがあります。1つは直接NK細胞に作用して結果的にNK活性を上昇させること、もう1つは間接的にストレスホルモンを減少させてストレスホルモンによるNK活性の抑制を解除して、結果的にNK活性を上昇させることです。このように2つのメカニズムで、NK活性を上昇させる結果になりました。

 

次に、森林の面積ががんの発症に関係があることが、私の研究でわかりました。これは日本のデータで、森林率とがんの死亡率の間に逆相関関係にあるということです。要するに森の近くに住んでいる方が、がんの死亡率が低いという結論です。どれくらい低いかというと、1割くらいです。

詳しくは紹介できませんが、2017年のドイツでの研究結果でも『人間は森で暮らした方が幸せになります』ということが発表されています。

ということで、これは森林セラピー効果ですが、最初からお話ししたので、ここは表示するだけで詳細な説明を省略します。これを見ると、森林浴の病気予防効果としては、森林セラピーは高血圧の予防効果、うつ病の予防効果、がんの予防効果、トータル的に生活習慣病の予防効果があり、将来的には治療効果もあるかもしれません。結果的にストレスが全ての病気と関係がありますので、ストレスを解消すれば全ての病気の予防につながる、こういうことが言えるでしょう。

この画面は、森林浴・森林セラピー10箇条で、私のホームページにも載せています。この森林セラピーが、なぜこんなに注目されているかといいますと、やはりマスコミの報道は非常に大きいです。

 

これは2010年、最初にニューヨークタイムスが私のグループの研究論文2つと、宮崎先生のグループの研究論文2つ、合わせて4つの英語論文を紹介したことで一気に火がつきました。
そして、2012年にはイギリスのBBCが私にインタビューして、いまでもその番組を聴くことができます。

 

さらに2013年に、われわれはハーバード大学に招待され、そこで森林セラピーとか日本の森林浴についての研究を紹介しました。(写真左上)
これは昨年の11月のドイツのテレビ局の取材風景で、去年の年末ぐらいに放送されました。また、フランスからもわざわざやってきて取材して帰りました。(写真右上)
これはつい最近、平成30年2月26日に、NHKがこういう番組で取材して、今年のみどりの日の前後に放送する予定です。(写真左下)
日本医科大学のHPにも、私の研究について結構紹介しています。(写真中下)
この研究は、2011年に日本医科大学の『大学賞』をいただいています。(写真右下)

そしてこれが森林医学のロードマップです。森林浴の構想は1982年に提示されましたが、正式には2004年から研究がスタートして、2012年に、血圧降下、ストレス解消、うつ状態改善、免疫増進といった効果があることがわかり、だいたい2016年あたりで、まずは予防法として確立して、これからは治療法、これはいつ確立するかはわかりませんが、将来的にこれを目指しています。さらに今後は保健事業への活用も期待できます。こういった目標を達成するためには、臨床医、特に森林医学に興味のある臨床医の役割が大きいと思います。あとはわれわれ森林医学研究会の会員とか森林セラピーソサエティ及び国土緑化推進機構も含めて全ての組織が関わることが重要です。

このゴールを達成するために私は、2015年に日本の医師免許を取得しましたので、これからは臨床で森林セラピーの効果を実証していこうと考えています。
以上で報告を終わります。長時間のご清聴ありがとうございました。