被災地には、いまだに瓦礫が山積する現実。

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東日本大震災からおよそ1年と半年。被災地には災害廃棄物がいまだにうず高く積まれ、処理の行方が案じられています。東北3県の瓦礫推計量は、約2,247万トン(岩手県約449万トン、宮城県約1,570万トン、福島県約225万トン)とされ、阪神・淡路大震災の1.6倍、全国の年間一般廃棄物総量の2分の1に相当する(東京新聞調べ)災害廃棄物の多くが一時的な置場である「仮置場」へ移動しています。しかし、仮置場をさらに確保することは地形的に難しく、現在では災害廃棄物が山積みされ、火災の危険性も高まっています。被災地では仮設焼却炉を設置するなどして処理に取り組んでいますが、それだけではとても処理できず、日本全体で災害廃棄物を処理する「広域処理」の一層の進行が期待されていますが、まだその成果は表れていません。岩手県で通常の約9年分、宮城県で通常の15年分もの災害廃棄物がいまなお被災地に山積しているのが実情なのです。

草が生い茂り、コンクリートの土台だけを晒す無残な街から目を転じれば津波の塩害によって立ち枯れした杉林が、哀れな茶色の森と化したまま風景が目に入ります。今回の震災で津波を被った杉林は、海水に浸かっていた時間が長い土地ほど根が呼吸できずに死滅した例と、地震による地盤沈下によって、根が潮水に接したことで根腐れが進行した例などさまざまですが、その使途を含め処理・処分の方法も決まらないまま時間のみが過ぎています。被災木が材として使えるか否か、その評価も地域や被災の状態によってまちまちというのも、処理を遅らせている要因ですが、本格的な台風シーズンを前に何よりも伐採が急がれています。被災地では管理の手が回らず、倒木などの二次災害が懸念されています。