津波によって、膨大な海岸防災林が消失。

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東日本大震災では、津波によって多くの海岸林が消失してしまいました。被害は青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の6県に及び、約3,660haというかつてない甚大な状況となっています。白砂青松といわれる景観を形成してきた海岸林は、一方で飛砂や潮風、高潮といった海岸部特有の現象から暮らしや産業を守る役割を果たしてきました。この海岸林を失ったことで、各地では海風等の影響が懸念されており、平穏な暮らしを取り戻すためにも海岸防災林の再生が望まれています。

宮城県では津波から住民を守る海外防災林を太平洋沿岸部(仙台市から南側の仙台平野沿岸部の50〜60キロ)に整備するため、大震災で発生した県内の瓦礫を盛り土として埋め立て、再利用することが決まりましたが、こうした動きはごく一部です。海外防災林を津波で無くした多くの地域では、地盤沈下した海岸の防潮堤にも着工できずにおります。その理由は堤防の高さと周辺のまちづくりとの関係、堤防の高さの河川環境への影響等、に対して被災地ごとの津波防御計画の策定の遅れ、被災地住民の意見集約の遅れが背景にあるものと思われます。

いずれにしても海岸林は、①津波に対して抵抗として働き、津波の流勢を減少させ、氾濫速度を遅らせる機能②漂着物捕捉機能によって家屋への被害低減など二次被害の抑制する③飛砂の捕捉により砂丘が形成され、自然の堤防として津波を防ぐなど、さまざまな機能を有しています。100年単位での育成が求められるのが海岸防災林だけに、災害への備えを考えるとその再生も待ったなしの状況にあります。