企業の「4つのアクション」

大事にするには、ちゃんと使おう

大事にするには、ちゃんと使おう 森を大事にするためには、全く木を使わなければいい!?いいえ、国産材の木製品や、森から得られる自然の恵みを企業が積極的に使うことは、森づくりの循環には大切なステップです。
木が生長する過程で出る間伐材を含む、暮らしに身近な国産材を使ったオフィス家具や文房具、会社の備品などに木製品を導入することは、職場でも比較的すぐにできる活動ではないでしょうか。
国産材を使用するれば、土砂災害や洪水を防止するような、森が持ついろいろな機能を高めることに繋がるほか、職人の技術継承や、地域の建築家や林業家との顔の見える交流など、地域を元気づけることができます。さらに、海外から材料を輸送する時に出る二酸化炭素などの温室効果ガスも抑えられます。途上国の森で違法に伐採された木材など、森林荒廃につながる原因も回避でき、身近な机の周りから地球環境と繋がっています。
日常の仕事の中に国産材製品を取り入れることは、現代生活から失われがちな温もりのある暮らしを取り戻しながら、同時に森を育てていく活動です。地域の木で温もりのある快適な空間を手にできるだけでなく、日本の森林保全や地球環境保全に繋がります。さらに、国内の森林が十分に利用されることで「森づくりの循環」が維持され、地球温暖化の防止に繋がっていきます。

身近なところで賢く使えば、世界に貢献!

企業や公共施設で、積極的に木を使うところから始めてみませんか?森は、二酸化炭素を吸収して、炭素として体内にとどめる「炭素固定効果」を持っているので、木材を利用すれば省エネや化石燃料を使わない効果が期待できます。
地域の国産材を使えば、日本の気候風土に合った、木の香りが漂う、温もりのある職場空間を作れます。オフィス家具や事務用品、ノベルティグッズなど、製品もいろいろ。コピー用紙や報告書、パンフレットなどの紙製品にも間伐材紙があり、「グリーン購入法」の対象にもなっています。
また、オフィスそのものを建築する時にも、国産材がオススメです。木材の表面の細かい凹凸や細かい空洞が光の反射を抑えたり、抗菌効果のあるフィトンチッド成分を放散します。さらに、断熱・調湿・防音効果なども加わって、優しく落ちつきと温もりのある空間を演出し、人の疲労感を和らげたり、集中力を高める研究成果があります。
炭素貯蔵量(木が吸収し、木材に貯蔵される炭素の量)で比較すると、木造住宅1軒の炭素貯蔵量は約6tで、鉄骨プレハブ住宅や鉄筋コンクリート住宅の4倍近い量です(出典:岡崎泰男・大熊幹章「炭素ストック、CO2放出の観点から見た木造住宅建設の評価」『木材工業53(4)』1998年)。材料を作るときに排出される炭素の放出量で比較しても、木の素材はアルミニウムに比較して約1/100で済みます(出典:林野庁「カーボン・シンク・プロジェクト推進調査事業」)。

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バイオ燃料「木質バイオマス」で復興支援

バイオ燃料「木質バイオマス」で復興支援

工場などでは、化石燃料に「木質バイオマス」を混入させて使うことで、二酸化炭素の発生をより抑えることができます。
バイオマスとは、元々、生物資源(bio)を量(mass)で表した言葉ですが、最近では、再生可能な生物由来の有機性資源を指す言葉として知られつつあります。このうち、木材からできるバイオマスのことを木質バイオマスと呼んでいます。東日本大震災では、まだ寒い被災地域の避難所に、木質バイオマスを小型の固形燃料「木質ペレット」として燃料にする「ペレットストーブ」が、支援物資として送られたのをご記憶の方も多いでしょう。
木質バイオマスは、木を伐採したり製材する時に発生した枝・葉・間伐材、樹皮・のこ屑、街路樹を剪定した時の枝や住宅の解体材などを資源として作られていますが、このうち、伐採などで発生する枝・葉・間伐材などはほとんどが使われていません。森林、市街地など発生する場所や、水分の量や異物の有無など状態が違うので、それぞれの特徴にあった利用が重要な課題です。
東日本大震災では、がれきなどの廃材から加工されたチップを、発電施設を持つ企業が燃料として積極的に利用するなど、復興へ向けた取り組みがスタートしています。

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正しい木材を使うことは、積極的な投資

正しい木材を使うことは、積極的な投資

もし、自社の商品に使っていた木材が、実は、絶滅危惧種の木や国立公園の木など国内・海外で違法に伐採された木が原料だったとすれば…?それが意図的でなくても、企業ブランドは大きく傷ついてしまい、影響は計り知れないでしょう。
企業が木材・紙製品を使う時には、適切に管理された森林からの材料を使うなど、調達経路にも十分注意することが重要です。違法伐採された木材でないかだけではなく、資源や生態系の保全、地域社会の持続可能性など、CSR(企業の社会的責任)としての観点から、総合的に重要視されます。そのため、国際的な協議会「森林管理協議会(FSC)」が行う信頼性がある森林認証が、日本でも注目されています。
木材の調達・安全・管理について取り組むにはコストが掛かりますが、違法な材料を使うリスクを避けて、社会的意識が高い消費者や株主、自治体やNGO/NPOなどからの信頼を得ることができます。また、企業としての責任を積極的に果たして、他社よりも先進的な取り組みを進める姿勢を示すことで、従業員が自社の取り組みに誇りを持つことにもなります。その結果として、自社のブランド価値を高め、維持するための、いわば積極的な投資の1つだと言えます。

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