令和5年度 森林づくり活動レポート
ガールスカウト兵庫県第27団
貢献したSDGs目標
森のそばにある畑で身近な野菜を栽培することで季節を感じ、土の中の生き物や畑にやってくる生き物たちに関心を持つ
『小さな畑は森の入り口』
私たちガールスカウト兵庫県第27団は、兵庫県の宝塚市北雲雀きずきの森の中にある福祉農園のお手伝いをさせて頂きながら、自分たちに身近な野菜を育てたり、畑に住む昆虫や爬虫類、畑にやってくる鳥や小動物の観察をしています。
今子供たちを取り巻く環境は、家にお庭がなかったり、子どもだけで安心して遊べる公園が近くになかったり、豊かな自然の中で過ごすことが少なく、キャンプに連れて行っても虫が怖くてキャンプを楽しめない子もあります。たまたま、私たちが活動している近くに小さな森があり、その中に小さな畑(福祉農園)がありました。ご縁があり、管理のお手伝いをさせて頂くことになりました。
スーパーで、季節に関係なく、ラップにくるまれて並んでいる野菜しか知らない子供たちにとって、春先に地面からニョキニョキ生えてくるアスパラや、11月に植え付けて5月中頃にならないとできないイチゴ、夏の一番熱いころにできるトマトやキュウリ、5月に植え付けて10月に取れるサツマイモ等。子どもたちは、野菜が育つためには時間がかかりその野菜によってできる季節が違うことを学びます。
2023.10.22 サトイモの葉っぱで水玉遊び
また、小さな畑で色々観察することで、たくさんの命が土の中にも周りにもあることに気づきます。
野菜を作るために土を耕していると、ミミズやオケラ、ダンゴムシ、イモムシたちが出てきます。初めはおっかなびっくりしていたスカウトたちもだんだんと慣れて触れるようになってきます。そしてこの虫たちや、もっと小さな目に見えない生き物たちが枯れ葉等を土に返し、土に混ぜ耕してくれていることを学びます。そんな大切な命をだめにしないために、畑では化学肥料は使わず、農薬も使いません。
(写真左)2023.11.6 イチゴの葉っぱの下に金色のさなぎ発見、(写真右)2023.11.9 羽化したてのベニアカタテハ
せっかく育てている野菜が虫たちに食べられたときは、ネットをかぶせたり、コンパニオンプランツを調べたりします。病気が出た時は、畑の横で炭を作っておられる炭焼きおじさんからいただいた、木酢液や、焼酎、酢、ニンニクエキス、しょうが汁、など人間には害のないものを合わせ、何倍にも薄めたものを散布しています。
野菜を育てているといろんな動物もやってきます。以前にはせっかくできたサツマイモを、イノシシに全部食べられてしまい、悲しい思いをしたことがありました。イノシシは、畑の柵を壊して入っていたそうです。すごい力だなぁと思いました。おじさんたちが策をしっかり直してくださいましたので、イノシシは入らなくなりましたが、今度はモグラが入ってきて、トンネルを掘り出しました。ネットで調べ、ペットボトルで作る風車をあちこちに立てると、全然来なくなりました。風車の振動が土に伝わり、それを怖がってこないのだそうです。
困った生き物ばかりではなく、かわいいお客さんもたくさんやってきます。
毎年冬になると、ジョウビタキのメスが畑を縄張りにしています。チッチというかわいい声が聞こえると楽しい気持ちになります。他にも、ニホントカゲやカナヘビ、昆虫もたくさん来ます。
昨年の秋にイチゴの苗の植え替えをしていると、イチゴの葉っぱの裏に金色の蛹がぶら下がっているのが見つかりました。本当に金色で日の光にあたってキラキラ輝いていました。調べてみるとベニアカタテハのさなぎだとわかりました。周りをネットで囲い、毎日様子を観察しました。3日目に羽化が始まり、その様子を写真や動画に撮ることができました。月に2回ほどの活動しかないため、今回にかかわらず畑の様子はグループラインを作り家族を含めスカウトたちと共有しています。
なぜ、イチゴの葉の裏にベニアカタテハの蛹があったのか?幼虫はどこで何を食べ、どんな形をしていたのか?
次々に疑問が出てきます。きずきの森を観察林にしておられる兵庫県環境保護協会の先生方に教えていただいたり、調べてみると、蝶によって幼虫が食べる植物(食草)が違うこと、さなぎになるのは食草から離れた場所を選ぶことなどがわかってきました。畑にはたくさんの種類の蝶がやってきます。これからも、スカウトたちといろいろ観察していきたいと思います。畑で楽しみあそびながら、スカウトたちの感性が豊かになり、自然を大好きになってほしいと思っています。
2024.8.7 ガールスカウト兵庫県第27団 坂手 多香
ガールスカウト兵庫県第27団
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2024.09 更新