第4回森林づくり全国推進会議・シンポジウムの概要

フォレスト・サポーターズ

【主催者挨拶】

櫻田 謙悟 会長 (公益財団法人SOMPO美術財団理事長)

 「本会議はお陰様で設立後4年目を迎え、会員数は設立時より徐々に増え285となりました。また、令和6年度に森林づくりに取り組んだと報告していただいた会員は72となり、初年度から着実に増えています。皆様のご協力に感謝申し上げます。地球温暖化の影響が色々な意味で私たちの身近な所で感じられるようになっているなかで、私ども企業や団体にとって、気候変動や生物多様性の両者を意識して、そこに新たな価値を創出するための経営や活動がますます重要になっていていると感じています。SDGsの達成期限である2030年に向けて、多くの会員が森林づくりに取り組まれるよう、引き続き会員の皆様への情報提供や企業・団体への働きかけを進めて参りたいと考えています。多くの方に本会議の会員登録を呼びかけていただき、新たな森林づくりの取組を進めていただくことをお願い申し上げ、挨拶とさせていただきます。」

【来賓挨拶】

 山本 啓介 農林水産大臣政務官

 

「我が国の森林は戦後植樹されたものが50年を過ぎ、今、使い時になって参りました。しかしながら、我が国においても、また、社会においても木を使う機会が減っているのが現状であります。山をしっかりと守っていく出口をどうするか、森林だけではなく木材をどのように活用していくのか、我々としましてもそれらを地域や世代、そして社会に対して、色々な方のお力をお借りしながらしっかりと発信して参りたいと考えています。本日は優良事例の発信により、多様な主体の参画がさらに広がるとともに、気候変動対策や生物多様性保全への貢献といった観点からもその取組が評価され、会員の皆様の社会的価値の向上につながることを期待しています。農林水産省としても、森の国らしい国づくりを進めていけるよう、様々な施策を通じて皆様方の引き続きのご支援とご協力をお願い申し上げます。」

 宮下 正裕 林業復活・地域創生を推進する国民会議会長                            ((株)竹中工務店元特別顧問)

「林業の復活による地域創生は森林づくり全国推進会議様と私ども国民会議の共通の目標であり、我が国の2030年のSDGs達成や2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた志も同じくしています。国産材の利用は近年着実に拡大しており、都市部においても国産材を活用し、優れたデザイン性を持つ木造住宅建築が目に見えて増えてきております。関係者の皆様のご努力に心から敬意を表したいと思います。これからも木々に囲まれた豊かなまちづくりを一層推進するためには、その源泉となる持続可能な森が不可欠です。木を植えて、育てて使う。そして木を使うことによって、また植えて育てるという、この循環型の新しい林業を目指し、私どもも国と連携しながら活動を続けてまいりたいと存じます。」

【会員の活動報告】

 令和6年度の活動を事務局に報告していただいた会員を代表して、損保ジャパン株式会社様(カルチャー変革推進部サステナビリティ推進グループ グループリーダー加藤拓氏)、及び西日本旅客鉄道株式会社様(DX本部ビジネスデザイン部JCLaaS事業部課長 後藤田育司氏)の2者から報告していただきました。

加藤 拓 氏
後藤田 育司 氏

【高校生によるSDGsアクションアイデアの発表】

 昨年に引き続き、「SDGs QUESTみらい甲子園」と連携して、同甲子園で優秀な成績をおさめた高校生チームの中から事前に会員からの要望が多かった2チーム(洗足学園高等学校「りんりん」チーム、長野県下伊那農業高等学校「下伊那農業高等学校農業クラブ」チーム)が選考され、会長からの表彰のあと、各チームのアイデアを発表していただきました。

・洗足学園高等学校「りんりん」チーム
運動×林業 ~林業を、もっと身近に~

・長野県下伊那農業高等学校「下伊那農業高等学校農業クラブ」チーム
おこせbamboo革命 ~やっかいものから宝ものへ~

 

  

 

 

【とりまとめ】(櫻田謙悟会長)

 

「自然保護や森づくりが、ノンプロフィットではなくいかに市場化するかということがキーワードとなって、それこそがサステナビリティの根幹にあるということ、新しい次元に進化したんだということを強く感じました。洗足学園高校さんの、林業が苦しいのではなく楽しいんだという発想は大したものだと思いました。また、下伊那農業高校さんは、地元の竹林資源をどうやって商品化し利益を生み出すかということで、これは起業家の卵だと思いました。正しくサステナビリティを追求することが利益を生み、正しく利益を追求することがサステナビリティにつながり、それが保護につながるということを改めて学ばせてもらいました。若い方々のエネルギーと知恵と工夫に賛辞を贈りたいと思います。」

【来賓挨拶】

 滝波 宏文 参議院議員                  (前農林水産副大臣)

  

「農林水産副大臣を1年勤めさせていただきましたが、この間、省内に地方みらい共創研究会を立ち上げ、5月に、農林水産地域における地方創生の実現に向けた課題や方針を「地方みらい共創戦略」として取りまとめたところです。その中に「森業」を掲げました。企業による森づくり、森林由来Jクレジットの創出や活用、森林空間の利用など、森林の持つ多面的な機能に価値を見出し、地域に賑わいや雇用を創出する仕組み、これを「森業」と位置づけて政策的に推進する方針を明確に示したところです。皆様におかれましても、この戦略が掲げる森業の理念を御理解いただきまして、地域の魅力や活力を引き出す原動力として今後ますますご活躍されていくことを期待してございます。」

【森業の推進について】

林野庁山村振興・緑化推進室室長岸功規様から、企業による森づくりと森業との関わり等森業の推進について説明があり、参集された企業等の皆様に対し、森業を推進するためのポータル・サイトを開設したので是非訪れていただき、これからの森業の推進に協力をいただくよう依頼がありました。

【パネルディスカッション】

テーマ:企業と森林の共創によるwin-winな未来へ

モデレーター :皆川芳嗣氏 ((一社)日本農福連携協会会長理事)

パネリスト  :

佐藤円佳氏 (京王電鉄(株)開発事業本部開発推進部技術担当課長)

加藤拓氏 (損保ジャパン(株)カルチャー変革推進部サステナビリティ推進グループグループリーダー)            

後藤田育司氏(西日本旅客鉄道(株)DX本部ビジネスデザイン部JClaaS事業部課長)

仲間司氏  ((公社)京都モデルフォレスト協会常務理事兼事務局長)

コメンテーター:齋藤健一氏(林野庁森林整備部長)

論点1 企業戦略において森林づくり活動をどう位置づけていくのか。活動のメリットをどのように設定していくのか。

論点2 継続的な森林づくり活動につなげていくため、企業間の連携や自治体との関係づくり、また、企業本来の活動等との関係性、などについて、どのような工夫をされているのか。

(文責:森林づくり全国推進会議事務局)