□ 椎野潤ブログ(大隅研究会第18回) 「大隅の森の恵を活かす理念とビジネス」講演会
おおすみ100年の森理事長 大竹野千里
“大隅の森の恵を活かす理念とビジネス”と題しまして、NPO主催の講演会を11月8日に行いました。
柳沢林業代表取締役、原薫氏を講師に御招きし、受講者には森山衆議院議員始め、地元首長、県議、市会議員や行政、木材関係業者、一般市民が集い、森の恵みを生かすお話に大いに盛り上がりました。
皆さんご存知の通り原さんは、長野県で林業会社柳沢林業を経営され、同時に一般社団法人ソマミチ代表理事をされています。
原さんの人となりと、実際に展開されている森林ビジネスが相互に魅力を引き出して終始会場は温かな雰囲気に包まれていました。
また、第二部としてコーディネーターに(株)古川ちいきの総合研究所代表取締役古川大輔氏を迎え、パネラーには地元で活躍する次世代の林業・木材業従事者2名【大隅森林組合課長・山佐木材(株)製材部長】に登壇いただき、パネルディスカッションも行いました。
当NPOは、森林環境税の有効利用を目的に管内市町と勉強会を重ねていますが、今回の講演会では、実際の取り組みについてご本人と意見交換することができ、普段とはまた違った視点でいい勉強になりました。
受講者からは「森林(自然)との向き合い方にヒントがある」「他に習うだけでなく、地元にある資源を生かすことが大切だと実感できた」「林業・木材業だけでなく他業種の取り組みにも通じる話」のなど感想が聞かれました。
正直、林業木材産業は他業種からすると年間売上額は少なくマイナーな業界です。行政や議会でも林業木材業界を十分に理解されている方は多くはありません。
このような講演会を通じて行政や議員の皆さんと共に未来の大隅の森林の姿について学び考え続けていきたいと思います。
☆まとめ 「塾頭の一言」 本郷浩二
原代表のお話が、皆様に明るく楽しい気持ちと元気を盛り上げてくださったようで、何よりです。
以前、原様には林政審議会の委員を務めていただきました。林野庁の政策は地域が必要とする処方箋の最大公約数にもなっておらず、限られた予算、人的資源の中で、外国産木材との競合の克服とか国産材資源と需要のギャップを埋める対策、長い育成期間の間に失われた人工林の最低限の管理の実施や維持する仕組みの構築、国有林の管理経営といったことに集中しており、個別の林業経営、個々の地域の森林・林業の創生をどうするといった懇切丁寧な切り口で議論できないので、欲求不満でいらしたように見受けられました。しかし、そのことで、林野庁に愛想をつかされ?、林野庁の政策に依存、期待していてはだめだと目覚められたのか、目覚ましい独自のお取組を展開されておられます。私も、皆と同じことをやっていては儲からない、などと思ってきたので、たいへん注目している方です。言い訳になりますが、林野庁の政策は全体的な状況の改善、改良を目指しているので、皆に同じ方向でやることに補助金を出すのです。その方が、補助金の効果が明確になりやすいからです。林業・木材産業分野の個別の取組を支援する一年間やたかだか数年のソフト事業は政策効果が見えないことも多く、財務や政策評価の分野から嫌われています。
重要なことは、行政がよく使う言葉、モデル地域の取組を横(水平)展開する(つまり真似する)、というのではなく、他地域の取組、森林・林業・木材産業行政以外に広げた様々な行政のシステムや政策の使えるところを利用しながら、地域の問題を自分たちで解決する道筋を考え、実行に移すことだと思います。そのための挑戦意欲とアイデアになるヒントをいただけそうな「よそ者」の意見や経験をお聞きし、前例や先入観、世の中の常識と言われるものにこだわらない「わか者」、「ばか者」の力を発揮してもらうことを進めてくださればと思います。
そんなことが簡単にできるのなら、今、この問題は既に解決しているわけで、たいへん困難な道なのですが、ぜひ、倦むことなく、参加者の声にもあるように他の産業や分野もつないで、地域の問題解決につなげてください。
鹿児島での木材産業振興大会では、ご挨拶しかできず、申し訳ございませんでした。まだ訪れたことのない場所なので、早いうちに大隅の森林にお伺いしたいと思っております。