未来につなぎたい、豊かな木の文化
木材を上手につかえば、環境も暮らしも心地よく

現代の私たちの暮らしには、さまざまな素材が使われていますが、日本は豊かな森林資源を有し、優れた加工技術や文化をもちながら、木材を活かしきれていない、といわれます。ここ近年の我が国の木材自給率は約4割で推移しており、まだ多くを輸入にたよっています。より上手に国産の木材を使うことで、健康で美しい人工林を育成し、日本の木の文化・技術を未来につなぐことができます。

伐ってつかい、また植えて育てる人工林

木材の生産を目的として植えられた人工林は育成林とも呼ばれ、いわば「木の畑」です。しかし森林の働きは、木材生産だけではありません。二酸化炭素(CO2)の吸収や、国土を災害から守る、水を蓄える、といった森林の持つ重要な役目を発揮してもらうためには、自然に任せるだけなく、私たち人間が木材を使って、経済を循環させながら、人の手で森を育てることが重要です。

人工林は国土の7割を覆う森林のうちの、4割にあたり、大きな面積をしめます。人工林は、伐って使うとともに、植えて育てることで、未来につながる森林の持続的なサイクルが保たれるのです。

木づかい運動で「ウッド・チェンジ」する

木づかい運動とは、まいにちの暮らしの中で使用する家具や日用品・玩具、さらにはお住まいの柱や内装などに国産の木製品をつかうことで、日本の森林(人工林)を活性化し、環境保全を推進するための国民運動です。平成17年度から林野庁が推進してきましたが、SDGsやカーボンニュートラルへの取り組みを背景に、「ウッド・チェンジ」をスローガンとしてさらなる広がりをみせています。

ウッド・チェンジとは、身の回りのものを木に変える、木を暮らしに取り入れる、建築物を木造・木質化するなど、木の利用を通じて持続可能な社会へチェンジする行動を指しています。

ウッド・チェンジロゴマーク(林野庁「木づかい運動でウッド・チェンジ!」より)

ウッド・チェンジすると

  • 海外からの輸送時のCO2等の温室効果ガスの排出を抑えます。
  • 地域の木材を使用することで、地域の土砂災害や洪水の防止、水源を守る、生態系を守る等、森林の持つさまざまな役割を保持します。
  • 木工職人や大工の技術等の継承や、日本の豊かな木の文化を未来へとつなぐことができます。
  • オフィスや公共施設に国産の木材をつかうことで、木材の持つ癒やし効果や、温かみのある空間を創出することができます。
  • 海外から輸入される木材の中には、森で違法に伐採された木材等、森林荒廃につながるものもあります。国産材の使用は、そうした輸入を抑えることにつながります。

木育活動・イベントに参加する

木製の道具や木のおもちゃなどは、それぞれの森の生態系の中で育てららた樹木を材料としたもので、ひとつとして同じではない魅力があります。木材は多様性がありながら、比較的加工がしやすく、ものづくりを始めるのにも適した素材です。木の玩具は手触りもよく、子どもたちにも大人気。

木育は、木で遊んだり創ったりを通して、豊かな感性や創造力が育まれることを目的とした活動で、今では全国に広がり、さまざまな団体・企業・教育機関などが実践しています。
子どもたちといっしょに全国のおもちゃ美術館を訪ねてみる、木工体験やクラフト教室に参加するなど、あらためて「木」の魅力に出会ってください。

ウッドデザイン賞にも注目

「ウッドデザイン賞」は、木の良さや価値を、デザインの力で再構築することを目的として、優れた建築・空間や製品、活動や仕組み、研究等を募集・評価し、表彰する顕彰制度です。受賞者には、様々な広報・PRの場が提供されるとともに、生産から消費に関わる人同士のマッチングも行われます。ウッドデザイン賞を通じて、多様な知見やアイデア、ネットワークを持つ人びとが集い、新たな時代の価値づくりに参画していただくことと目的としています。

ウッドデザインマーク

ウッドデザイン賞のマークがある商品を購入することでも、日本の森を応援することにつながりますし、製品やサービスの開発に関わっている方は、ぜひご応募ください。

フォレスト・サポーターズ〈4つのアクション〉