農山村の暮らしを体験する、いっそ移住も?
森を仕事場にすることや、森林組合に就職することも。

都市部に暮らすひとは、農山村を訪れて、まずは森と共生する暮らしにふれてみませんか。その豊かさに気づいたなら、移住も視野に入ります。環境が整えば、仕事場を森に移すことも可能になってきましたし、森林組合などで本格的に森の仕事に従事したい方にも、さまざまな支援があります。そして、消費者として、暮らしの中で森の恵み(特用林産物)を活用することも、地域と森を守ることにつながります。

農山村で暮らす

U・I・Jターンで農山村地域に移住したり、農山村地域に住居を構えて週末等に訪れる「二地域居住」が広まっています。これに対し、国や自治体では空き家の紹介や移住支援を行っています。
その他にも、テレワークなどを活用して農山村地域で働きつつ余暇を過ごす「ワーケーション」や、社員の研修や健康・レクリエーションの場として農山村に滞在するなど、企業と森林との関りも広まっています。オフィスを農山村に移転する企業の動きもあります。
また、森林を借りて直接森林の中でキャンプをして過ごすこともできます。

農山村地域への移住や、週末等に訪れる「二地域居住」に対して、国や自治体が支援する動きが広まっています。
山村地域におけるワーケーションのイメージ(森のオフィス:令和2年度 森林・林業白書より)

農山村の暮らしにふれる

農山村を訪れて、宿泊を体験したり、伝統的な暮らしや生業を体験したり、地元の人々との交流を楽しむことができます。
さらに、対象を子供に限定したものとして、子供たちが農山漁村で“ふるさと”を体感したり、自然の中で教育・体験活動ができる施設が各地にあります。

群馬県川場村での体験活動の様子(平成22年版森林・林業白書より)

森で働く

森林組合や林業会社に就職することで、本格的に林業を始めることができます。専業で働くほか、副業として季節的に雇用される人も農山村の中では少なくありません。
また、実際に森林を所有して自分で作業をする人もいます(自伐林家)。こちらも専業から週末に作業をする人まで様々です。また、森林所有者から管理委託を請けて施業を行う人もいます(自伐型林業)。
その他、地域おこし協力隊員として森林や林業に関わる人もいます。また地域の福祉施設と連携した苗木や木製品の製造・販売などの取り組みも見られます。

初めて働く人などに対する研修や相談窓口、支援制度として、林野庁が主導する「緑の雇用」事業や全国森林組合連合会が相談窓口を設けている「林業労働力確保支援センター」などがあります。
学びの場として、全国各地の林業大学校で実践的な技術・技能を習得することが可能で、このための給付金を受ける制度もあります(「緑の青年就業準備給付金事業」)。
その他、森で働く女性たちを支援するオンライン・ネットワーク「森女ミーティング」もあります。

森の恵み(特用林産物)を活用する

山林から生産される産物のうち、木材以外のきのこ類、木炭、竹、桐などの産物のことを『特用林産物』と呼びます。

低カロリーで食物繊維が多いきのこや、ワラビなどの山菜を食生活に取り入れることも森の恵みを活用することにつながります。
ホームセンターや通販などで手軽に購入できる木炭は災害時の燃料として期待できるほか、水のろ過材、消臭剤、土壌改良材としても注目されています。また、ストーブやキャンプファイアでの薪の使用も増えています。
そして、竹材はかつて様々な日用品に使われてきた身近な存在でした。たけのこやメンマなどの食材や、竹材からできたパルプを原料とする竹紙の使用等で、放置竹林の整備に貢献することが可能です。

きのこ類は代表的な特用林産物
春の山菜(私の森.jp写真部より)

これらのほか、以下のように様々な森の恵みがあります。
暮らしの中で有効に活用しましょう。

・漆(ウルシ)
・和紙(コウゾ、ミツマタ)
・桐
・木蝋
・木酢液
・薬(キハダ、オウレン、クロモジ等)

特用林産物についての詳細な情報は以下のサイトでご覧いただけます。

フォレスト・サポーターズ〈4つのアクション〉