広島県安芸高田市は、森に囲まれた典型的な「山村」です。ここでは地域を支える外国人の定住化を図っています。各地の山村にとって学ぶべきものが多いのです。
広島県安芸高田市 森に囲まれた典型的な「山村」
地域を支える外国人の定住化をはかる 各地の山村 学ぶべきものが多い
過去に書いたブログの中に、私が今、「山村」と呼んでいる森に囲まれた「マチ」が、もう一つあります。これは広島県の安芸高田市です。同市は、コロナ後のこの時期に、各地の山村が学ぶべき「モノ」を多く含んでいます。今日は、このブログを抜き書きして読んでいただきます。
□椎野潤ブログ(226)外国人 地域を支える 定住促進へ 自治体も動く 2019年3月31日
☆前書き
激しさを増す人手不足のもとで、企業ばかりでなく、各市区町村も必死で対策を講じています。その結果、必然的に、外国人に対する依存度は高くなっているのです。2019年3月21日の日本経済新聞に、このことが書いてありました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。記事は、以下のように書き出しています。
☆引用
「日本に、市区町村は1741ある。外国人がいないところは、5つしかない。最新の2018年1月時点の住民基本台帳人口に基づくと、日本列島の津々浦々で外国人が地域を支える存在になっている様子が浮かび上がる。4月に新たな外国人受け入れ制度が始まる今、人口減少を緩和する切り札として外国人の定住を増やそうとする自治体も出てきた。」
☆解説
外国人が多く暮らす地域は、人手の足りない産業が集積する都市部に目立ちます。でも、最近では、地方でも人手不足が深刻化し、受け入れは急増しています。全国の市区町村で外国人比率が最も高いのは、22%の北海道占冠村です。ここは中国などからの訪日客に人気のスキーリゾートがあるのです。従業員として働く台湾、中国、英国などの20〜30歳代の若者が目立ちます。
群馬県大泉町は、ブラジル人が多く10%を越えています。私の住んでいる東京都新宿区は、133カ国・地域の人が住んでおり、外国人比率で上位6位の中に入ります。そして、280市区町村が、全国平均の2%を超えています。
☆まとめ
「山村振興」にとって、大変に参考になるのは、広島県安芸高田市です。同市は、広島県の北部に位置する市です。戦国大名の毛利元就の本拠地として知られています。また、同市は「山村」と呼ぶ語が、一般にイメージしているような山間部の奥地ではありません。でも、私が、ブログのテリトリーとして「山村振興」と呼んでいるときは、その語は、もっと広く解釈しているのです。安芸高田市は、私のブログの「山村」のイメージにはピッタリと合う地域です。
同市は、外国人の住民が、人口の2%であり、全国平均の外国人比率のマチです。人口減少が進む中、日本人と外国人が対等に支え合うマチをめざし、住民ぐるみで、外国人が暮らしやすくする「市民総ガイド構想」を標榜しています。
外国人に、消防団や祭りへの参加を促しています。相談員の対応の良さが、SNSや口コミで広がっています。
日本に住む外国人は、現在若いのです。15〜64歳の生産年齢人口が85%に上ります。働き手として呼んだ外国人が、将来定住して、子どもを持てば、人口減少を緩和する存在になる可能性を秘めているのです。
でも、私は、心配もしています。私は若い頃、1970年代に、フランスの建設現場を調査に行ったことがあります。当時、パリの建設現場で働く建設労働者は、殆どアルジェリア人でした。フランス人の若者は、殆ど見かけませんでした。キタナイ、アブナイ、建設現場で働きたがるフランス人の若者は少なかったのです。
アルジェリア人の職人達は、一生懸命に働きました。そして、その収入は、故郷で待つ家族のもとへ送金していました。当時、パリでの収入は、故郷で働く人達とは、桁外れに多かったので、アルジェリアの人達は、パリに憧れました。家族を呼び寄せ定住しました。
でも、最近の状況を聞くと心配です。三世たちは「自分たちは、差別されている」と感じ始めたようです。それで「国として独立したい」と考えはじめているようです。フランス内部は各地で、空気が張りつめているようです。現地法人を持つ、会社の社長さんは、この二の舞には絶対に、してはならないと言っていました。
人手不足の中、やっと来てくれて、助けてくれた感謝の気持ちが薄れてきた三世の頃が、心配なのです。日本人は、外国人に苦しい中を、助けてもらうのですから、そのことをしっかり、心の底に据えて、我が子、我が孫に伝えて行かねばなりません。(参考資料1、2019.3.21、日経(斉藤徹也)を参照して記述。「 」内は引用)
参考資料
(1)日本経済新聞、2019年3月21日。
[コメント]
一方、別の心配もあります。今後、日本に来る外国人は、「特定外国人技能実習生制度」で来日する人が、どんどん増えてくると思います。この制度で外国人は、「日本の人手不足を補い助けてくれる人達」です。ですから「日本人と同等の賃金」を支払うことが大前提になるのです。
従って、日本の産業の中枢を占めている中小企業の人達や固定給をもらっていない人達に頑張ってもらうより、支払い賃金は著しく高くなるのです。その実態を直視して、日本の未来への対策を考えていく必要があります。
[付記]2020年7月6日、椎野潤記]