SDGs(持続可能な開発目標)とは

SDGs(SDGs:Sustainable Development Goals)は、2015年に国連本部で採択された、「誰一人取り残さない」持続可能でより良い社会の実現を目指す、世界共通の17のゴールと169のターゲットのことです。

国連では以下のように紹介しています。

「持続可能な開発目標とは、すべての人々にとってよりよい、より持続可能な未来を築くための青写真です。
貧困や不平等、気候変動、環境劣化、繁栄、平和と公正など、私たちが直面するグローバルな諸課題の解決を目指します。SDGsの目標は相互に関連しています。誰一人置き去りにしないために、2030年までに各目標・ターゲットを達成することが重要です。」

SDGs:Sustainable Development Goals 世界を変えるための17の目標

前身のMDGs(Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標)は主として開発途上国向けの目標でしたが、SDGsは、先進国も含め、全ての国が取り組むべき普遍的(ユニバーサル)な目標となっていることが特徴です。

SDGs15 陸の豊かさも守ろう

SDGsの目標の15は「陸の豊かさも守ろう」とするもので、「陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る」とあります。

森林の持続可能な管理に向けては、国内外でさまざまな取り組みが進んでいます。これらは目標15に寄与すると同時に、例えば、目標2(食料)、3(保健)、7(エネルギー)、8(成長・雇用)、13(気候変動)にも貢献するなど、すべてが繋がり合っています。

我が国の森林の循環利用とSDGsとの関係

我が国の森林の循環利用とSDGsとの関係

森林エリアを利用した身近な取り組み

SDGsの目標に貢献するさまざまな事例は、「森林の整備」「森林資源の利用」「森林空間の利用」の3つの分類に分けて、森林・林業白書(令和2年公表)で紹介されています。

このうち新たな広がりとして注目したいのは、「森林空間の利用」です。全国各地の森で観光・レジャー、健康、教育などを目的とした多様な取り組みが始まっています。

森林をそのまま活用したパークづくり

フォレストアドベンチャーは、森を森のまま自然を最大限活用している「自然共生型アウトドアパーク」です。環境への負荷を最低限に抑え、北海道から沖縄まで40以上あるパークは自然の立木を利用しており、針葉樹の森もあれば、広葉樹の森もあり、ひとつとして同じではありません。

◎ 観光•レジャーに関連する目標

SDGs目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう SDGs目標11.住み続けられるまちづくりを SDGs目標12.つくる責任つかう責任 SDGs目標15.陸の豊かさも守ろう

マウンテンバイクが山と地域を蘇らせる

山梨県の南アルプスマウンテンバイク愛好会では、森林内のマウンテンバイクで使うコースの整備を行うとともに、登山道の整備や山林管理のための巡視路の整備、祭りや清掃活動など地域行事の手伝い等を行なっています。こうした地域社会との交流を深めることを目的とした動きの中で、山村集落への移住者も生まれています。

◎ 観光・レジャーに関連する目標

SDGs目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう SDGs目標11.住み続けられるまちづくりを SDGs目標12.つくる責任つかう責任 SDGs目標15.陸の豊かさも守ろう

森の中で自らがつかみ取っていく本当の学び

森の中で子どもたちが大人の干渉を受けずに過ごす「森のようちえん」は学びの場として森林空間を利用する代表例です。全国で約300カ所が開園しています。幼児とその親、保育者はもちろん、学齢期から社会人、高齢者に到るまであらゆる年齢の人々を共に成長させる自然体験。生涯学習のフィールドとして森の空間利用が注目されます。

◎ 教育に関連する目標

SDGs目標4.質の高い教育をみんなに SDGs目標11.住み続けられるまちづくりを SDGs目標15.陸の豊かさも守ろう

「日本型クアオルト」質の高い健康保養地を目指して

ドイツの健康保養地(クアオルト)の考え方を取り入れつつ、日本の風土や文化、国民性に合った「日本型クアオルト」として、質の高い健康保養地づくりが進められています。その一環として、健康寿命を延ばし、交流人口の拡大を目的とした「クアオルト健康ウォーキング」が、全国に広がっています。

◎ 健康に関連する目標

SDGs目標3.すべての人に健康と福祉を SDGs目標8.働きがいも経済成長も SDGs目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう SDGs目標11.住み続けられるまちづくりを SDGs目標15.陸の豊かさも守ろう

これらの取り組みは、SDGsの目標3(健康)、目標4(教育)に加え、雇用創出や労働環境の改善(目標8)や持続可能な産業の発展(目標9、12)に貢献するものです。

さらに、都市と農村の交流が進み(目標11)、森林の持つ様々な価値の理解が促進され、森林の整備・保全への協力・支援(目標15)にもつながっていくことも考えられます。

SDGsに貢献する「森のための4つのアクション」

農山村に住む人も、都市に住む人も、国民みんなが森林づくりに参加する森のための4つのアクションをご紹介します。

ACTION1―森にふれよう

エコツアーを開催(参加)する 
SDGs目標3.すべての人に健康と福祉を SDGs目標4.質の高い教育をみんなに SDGs目標12.つくる責任つかう責任
森林教室を開催(参加)する
SDGs目標4.質の高い教育をみんなに SDGs目標12.つくる責任つかう責任
森林浴や森林レクリエーションに行く
SDGs目標4.質の高い教育をみんなに SDGs目標12.つくる責任つかう責任

ACTION2―木をつかおう

木のおもちゃ、国産材の家具・食器を使う 
SDGs目標12.つくる責任つかう責任
国産材の事務用品、間伐材の紙を使う
SDGs目標12.つくる責任つかう責任
薪ストーブを使う
SDGs目標7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに

ACTION3―森林をささえよう

森づくりをする、森林ボランティアに参加する
SDGs目標6.安全な水とトイレを世界中に SDGs目標13.気候変動に具体的な対策を SDGs目標15.陸の豊かさも守ろう
森づくりのために募金する
SDGs目標15.陸の豊かさも守ろう

ACTION4―森林とくらそう

森を仕事の場として働く
SDGs目標8.働きがいも経済成長も
森と生きる知恵や技術を学ぶ
SDGs目標4.質の高い教育をみんなに
森の恵みを暮らし取り入れる
SDGs目標2.飢餓をゼロに SDGs目標7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに SDGs目標12.つくる責任つかう責任

持続可能な未来への一歩

SDGsのうち、さいごの目標17は「解決する方法」を示したもので、つながり=パートナーシップによって実現できることが、SDGsの重要なポイントです。

パートナーシップはグローバルだけではありません。 身近なコミュニティ、地域においても、子どもから 高齢者まで、さまざまな立場の人が参加し、多様な視点や力を出し合って、みんなで課題に取り組み解決を目指すことが、持続可能な未来への一歩となります。

これらの目標に向けて動こうとするとき、大切なのは、未来の視点から現在を振り返ることです。目標が達成された未来はどんな世界か。そこから今を見て、未来のために何をするべきか考える。そうした視点をコミュニティのみんなで共有し、取り組みをはじめることが、社会を変える一歩になるはずです。

もっと知りたい方のために

その他の事例もいろいろあります!

令和元年度 森林・林業白書 全文
特集 持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する森林・林業・木材産業

(長野県安曇野市や、岐阜県・長野県の取り組みなど多数)

豊かな森林の役割