熊本地震では、住民が帰還しない熊本県南阿蘇村の集落で、若者がにぎわいを取り戻すため、先頭に立って意欲を燃やしていました。コロナウィルスで、職を失い、途方にくれている若者が、大都市に大勢いる現在、南阿蘇のように、各地の若者たちが、自分の古里の魅力をアピールして、強く誘致すれば、都市の若者たちは、自然豊かな古里へ帰って行くでしょう。今が、絶好のチャンスです。
□熊本地震後 住民が帰還しない熊本県南阿蘇村 若者が地元魅力発信開始 我々が先頭に立つ 若者の意欲旺盛
熊本地震で大被害を受け、3年過ぎても住民の帰還が進展しない熊本県南阿蘇村の集落で、若者らによる地元魅力発信の試みが始まっていました。『にぎわいを取り戻すためにも我々が先頭に立つ』若者たちは、意欲旺盛でした。 私は、2019年6月22日のブログに、これを書いていました。今日は、これを取り上げます。
□椎野潤ブログ(233)南阿蘇復興 若者が語り部 古里に活気を取り戻す 2019年6月22日
☆前書き
熊本地震で、大きな被害を受けた、熊本県南阿蘇村の若者たちが、地域再生にむけて、立ち上がりました。2019年6月8日の日本経済新聞の夕刊は、これを記事に書いていました。今日は、これを取り上げてブログに書きます。記事は、以下のように書き出していました。
☆引用
「熊本地震で大きな被害を受け、3年を過ぎても住民の帰還が進まない熊本県南阿蘇村の集落で、若者らが中心になって地元の魅力を発信する試みが進展している。『にぎわいを取り戻すためにも、我々が先頭に立つ』。復興の歩みを伝えたり、地区住民と交流する機会を設けたり、ふるさとに活気を取り戻そうと奔走している。」(参考資料1から引用)
☆解説
熊本県南阿蘇村立野地区には、地震当時、360世帯880人が住んでいました。でも、地震で土砂崩れなどが相次ぎ、壊滅的な被害を受けたため、県は地震後に全世帯を、「長期避難世帯」に認定しました。
この避難世帯認定は、2017年10月末に解除されました。でも、住民の多くは戻らなかったのです。帰還したのは、2019年4月1日で、158世帯354人でした。地震前の4割です。特に若手層の人口流出が著しかったのです。
このような状況を受け2018年9月に、地元に帰った20〜40歳の人達が「立野わかもん会」を結成しました。
2019年4月14日、「立野わかもん会」は、立野地域内の被害の大きかった処や復興が進むところなどを歩いて巡る企画、「立野地域フットパス」を開催しました。このイベントには、熊本ばかりでなく、遠方からも大勢の参加者が集まりました。
一方、被害の大きかったところには、東海大学の学生寮がありました。ここには大勢の学生が下宿していて被害に会いました。この黒川地区でも、学生たちが立ち上がりました。
東海大学の学生や黒川地区の住民で作る実行委員会は、2019年4月21日に、皆が被害の「語り部」となって地域を巡る、「南阿蘇・黒川ウォーク」を開催しました。被災地巡りを行い、震災遺構を見られる村の公式アプリ「つなぐ」を皆で見る体験をしました。(参考資料1、2019年6月8日、日経夕刊を参照して記述)
☆まとめ
志ある若者が「語り部」になって苦しかった当時のこと、立ち直ってきた道のりを後世に語り継ぐ。そして、その機会に阿蘇山麓の雄大な風景を知って訪ねてもらい「観光立村」の道を拓く。これは、地域の再建と同時に、未来にむけた地域振興の活動です。
この村の公式アプリ「つなぐ」が、世界中のインターネット、スマホとつながると良いのです。SNS(注1)のインスタグラム(注2)を通じて「インスタ映え(注3)」する迫力のある阿蘇の風景と地域社会の写真映像を、世界の72億人(注4)に、見てもらうのです。きっと、驚くほどの反響があると思います。
私は、これまで、このような災害に遭遇したとき、これを突破する超強力なスタートアップの出現が、必要だと考えてきました。でも、ここで立野地区や黒川地区で、立ち上がった若い人達は、地元発の凄いスタートアップなのです。地域社会を未来の幸福社会に導き、地元観光産業などを興そうとしているのですから。山村の未来を「発展する幸福社会」に導くスタートアップです。「山村振興」を牽引する戦士です。(「まとめ」は、2020年、夏、記述)
(注1)SNS(Social Networking Service):ネット上で社会的なつながりを持つことができるサービス。ツイッター、フェースブックなど。
(注2)インスタ映え:インスタグラムに写真を投稿した際、見栄えが良かった、映えるという意味。写真そのものだけではなく、有名な地域へ行ったなどその投稿の内容も含めてインスタ映えと呼ぶのが本来的。
(注3)インタグラム(Instagram):Facebook. Incが提供している無料の写真共有アプリケーション。
(注4)アメリカ合衆国統計局、世界人口推計、2015年、約72億69百万人。
参考資料
(1)日本経済新聞、2019年6月8日(夕刊)。
[コメント]
熊本地震は、橋梁、道路、建物を破壊しました。コロナウイルスは、人々のコミュニケーションに満ちた社会を破壊しました。災害の復興では、いつも同じ対策が活用できます。コロナ被害では、東京など大都市の方が、被害甚大だったのです。
大都市の若者たちは、今、自然豊かな地域に行きたいと思っているはずです。各地の山村の若者たちが、南阿蘇の若者のように、自分達の古里の魅力を、強力にアピールすれば、大都市の若者たちは、大自然の古里へ帰って行くでしょう。今が絶好のチャンスです。
[付記]2020年7月28日、椎野潤記]