コロナの悪魔は、取りあえずは、去っていったように思えます。でも、また、再来する恐れは極めて高いのです。ですから、その再来に備えるため、また、再発した場合に適切迅速に対応するために、今回、優等生だった地域の実施記録を、丁寧に記録して遺しておいて、活用する必要があります。今日は、それを考えてブログを書きます。
林業再生・山村振興への一言(再開)
2021年12月 (№163)
□椎野潤(続)ブログ(374) 山村振興 コロナ対応 優等生に学べ 1位福井県 2位山口県 4位和歌山県 感染したら「全員入院」 2021年12月7日。
☆前書き
日本経済新聞は、全国都道府県の内、コロナウイルスへの取り組みが良好だった地域を抽出する分析を行っています。2021年10月23日の新聞が、このことを報じていました。今日は、これについてブログを書きます。記事は、以下のように書き出しています。
☆引用
「新型コロナウイルスに対する都道府県の取り組みに大きな差が生じている。「医療」「ワクチン」「検査」の3つの視点から9指標でランキングしたところ、国が動くのを待たずに手を打って対策に乗り出した自治体が上位を占めた。懸念される「第6波」を含め、感染症の脅威に向き合う処方箋がそこにある。(参考資料1、2021年10月23日、日本経済新聞(天野豊文、鈴木洋介、鈴木卓郎、上野正芳)から引用)」
☆解説
[優等生地域の紹介]
この評価で優等生だった地域を紹介します。
[福井県]
総合順位1位は、福井県でした。早期発見・早期治療を掲げた「福井モデル」と呼ぶ体制のもと、地元の医師会や看護協会と連携し、先手先手で動いたことが成功した大きな要因でした。2021年8月上旬には、「野戦病院」に例えられる、最大100床の臨時医療施設の設置を表明しました。体育館を活用し、現在も即時利用できる体制を保持しています。医療従事者へのワクチン接種も全国最速で終えました。大規模接種会場に派遣するスタッフの調整も円滑に進みました。
妊婦対象の検査を2020年4月に開始しました。さらに、どこかの小学校で児童1人の感染がみつかると、濃厚接触者に限らず350人を超す学校全員の検査をしました。保健所は、全ての感染者について、感染前2週間内の行動について、「だれに感染させたか」だけでなく、「いつどこで、だれから感染したか」を調べました。
[山口県]
総合順位2位は、山口県でした。同県は、全人口ベースの接種において1位の70.5%です。2021年10月末までに、希望者の2回目の接種完了にメドをつけました。3回目も年内開始を目指しています。接種の主体となる全19市町と県が密接に連携しています。
国が、接種記録システムへの登録がはかどっている自治体に、ワクチンを傾斜配分する方針を示すと、県が市町に呼びかけて登録を促進しました。全国でワクチンの不足が問題になった7月以降は、県が市町間の融通を仲介して影響の拡大を防ぎました。
[和歌山県]
和歌山県は、総合4位でしたが、特に重要と考えたことには、徹底的に集中して、見事に貫徹しました。まず、命にかかわる重症化のリスクを極小化する「全員入院」の原則を堅持しました。感染ピーク時点においても、全国で唯一「100%」の入院率を達成しました。これは、自宅や宿泊施設では、容体の急変に即応できないと判断したからです。このためコロナ病床も、第3波の時点において、すでに京都府なみの400床を確保していました。第5波では600床まで増やしました。和歌山県は、国の判断を待たず、先んじて独自基準による対策に取り組みました。外出自粛の要請や軽症者の入院期間の短縮などにも、積極的に取り組みました。それが、この画期的な成果を生んだのです。
[島根県]
総合3位の島根県は、感染経路の追跡などに力を入れていました。その効果で、累計死者数は4人と全国最少になっています。(参考資料1、2021年10月23日、日本経済新聞(天野豊文、鈴木洋介、鈴木卓郎、上野正芳)を参照引用して記述)
☆まとめ
日本政府はコロナ対策を、各地の自治体に独自に工夫をさせましたが、それが、とても、良かったようです。
日本経済新聞の調査で、このコロナ対策の成果には、思いの外、大きな格差があることがわかりました。現在、コロナの新規感染者数は、20〜50人の水準まで減少しています。今こそ、各地で大きな成果を上げた優等生が実施した対策を、良く調べて、日本各地が、参考にすることが、きわめて重要でしょう。
コロナは執念深く、また、何処かで再発してきます。全国各地で、しっかり対応しなければなりません。
コロナ危機では、国の動きを待たずに積極的に行動して成功した自治体が多数ありました。コロナで傷んだ経済の再建に、同様の挑戦をすれば、ここでも想定外の成果を挙げて国の危機を救えるでしょう。コロナ危機脱出でエースになった自治体は、経済再生でもエースになれるはずなのです。
すなわち、人口減少が続く日本において、次世代の社会に向けて、積極的に燃える心で挑戦する自治体は、結局、地方創生を牽引するリーダーになれるのです。コロナは、追い風を吹かせて、希望の星を掘り起こしてくれました。
コロナ対策で、各地の多くの自治体・市町村が、自信を持つことが出来ました。コロナ危機は、人の命に係わる大事件ですから、躊躇なく積極的に動くことができました。でも、この次の最大課題である経済再建でも、迷わず積極的にやれば良いのです。前例がなくても良いのです。多少、法に触れても良いのです。これも国の大事件ですから。規制緩和すれば良いと言う空気が出来てきています。
日本人は「空気を読めます」「和の社会をつくる」ことができます。これは日本人の凄い美質だと、世界の人達から賞賛されています。でも、この裏側には、大きな欠点があるのです。「空気が読める」「皆が動かない」「だから自分も動かない」。ですから、改革が、さっぱり進まないのです。
でも、国に先んじてチャレンジし、先手、先手と進めることで成功した「コロナでの体験」を、次の経済再建に応用できれば、この日本人の欠点を、見事に克服することができるのです。このチャレンジする自治体に追従者が続けば、「空気が変わる」からです。ここでは日本人は「新しい和の社会」をつくります。革新社会を容易につくります。
苦しいコロナ禍で自信をつけた自治体・市町村のみなさん、難局にある日本国の再建のために頑張ってださい。お願いします。(参考資料1、2021年10月23日、日本経済新聞(天野豊文、鈴木洋介、鈴木卓郎、上野正芳)を読んで思考して記述)
参考資料
日本経済新聞、2021年10月23日。
[付記]2021年12月7日。
[コメント] [都道府県別の新型コロナウイルス対策のランキング付けのための評価方法]
日本経済新聞は、新型コロナの感染防止の取り組みを、各都道府県ごとに採点して評価しました。その採点方法を、以下に示します。
(1)評価に際し、まず、つぎの3視点を設定しました。「医療」「ワクチン」「検査」。
(2)この三つの視点につき9指標で採点し、合算して、その総点数の順位で評価しました。
(3)「医療」の視点における指標は、都道府県ごとの感染ピーク時におけるコロナ病床の使用率。
入院できた療養者の割合(入院率)。病床増減率(9月29日を2月24日に比較)のそれぞれの都道府県の順位について1〜47点を与えました。
(4)「ワクチン」の視点における指標は、12〜64歳の2回接種率(10月7日の時点)。
(5)「検査」については、10万人当たりの累計感染者(10月1日時点)、10万人当たりの1日のPCR検査可能件数(9月6日時点)、感染経路不明者の割合(10月1日までの1週間)。
なお、この数値が少ない方が対策の効果が良好であったことを示します。その逆の項目は逆数を使用します。
そして、各都道府県ごとに得られた評価点を合算し、都道府県のランキングを算出しました。この結果を総括しますと、人口規模の大きい大都市が、下位に回りやすいことが見えましたが、新型コロナ感染防止対策が良好であった自治体をランキングすることが出来ました。