□ 椎野潤ブログ(加藤研究会第五回) ドローンやAI活用 デジタル在庫で木材受注生産
昨年末に、読者に夢を与える明るい話題ということで、新聞社より正月特集記事の取材を受けていた所、仕事始めの1月4日、信濃毎日新聞の朝刊1面に、皆様と一緒に取り組む林業と建築のデータ連携の内容が表題で掲載されました。新聞では文字数が限定されていましたので取り組み内容を紹介します。
信濃朝日新聞デジタル →https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2023010400023
☆「新しい林業」モデル実証事業の採択内容
林野庁令和4年度「新しい林業」経営モデル実証事業に採択した内容を説明しました。「新しい林業」では、伐採から再造林・保育に至る収支のプラス転換を可能とする「新しい林業」の実現に向け、林業経営体がエリートツリー等新たな技術の導入により、収益性の向上を図り、経営レベルで「伐って・使って・植える」を実現できるよう「新しい林業」の経営モデルを構築するものです。全国で12件が採択されており、そのうちの1件が、私たちが提案した長野モデル(川上と川下のデータ連携を柱とする流通コスト削減による山元還元の実証事業)です。
「新しい林業」経営モデル実証事業に取り組む林業経営体等一覧 →
☆長野モデルの取組み
代表支援機関である信州大学は、人工林の主伐後に資源循環のための再造林が進まない現状を解決するため、国内初の新しいスマート林業技術を北信州森林組合で実証します。
ドローンレーザと背負子レーザを統合したデジタル森林資源把握と建築需要に応じた丸太情報を提供する新技術の開発、建築で必要とする丸太情報をICTハーベスタにワークオーダーするカスタムカット(乱尺)の造材、森林直販による製材・建築との商取引の実現による流通改革、AI・ICT技術のホロレンズ装着によるサイン表示された植栽位置へのナビゲート植栽、下草繁茂した状況下での植栽木を避けながらの下草刈りによる省力化と低コスト化の実証に取り組みます。
実施体制は、スマート林業の先頭を走る信州大学と精密林業計測、プラス収支を実証する北信州森林組合が連携して長野県の地域協議会を設立します。木造大型パネルと建築部材情報のDXを進めるウッドステーション、森林直販事業と国産無垢材の建築使用の活性化に取り組む森林連結経営も参画(信州大学から委託発注)して、川上と川下のデータ連携を柱とするコスト削減と山元還元の実証に取り組みます。
☆ 取材で伝えたかったこと
加藤研究室の唐沢君と光門さんが前回紹介した「ウッドデザイン賞2022を受賞して」のドローンtoハウジング構想の実証です。国産材の有効利用に関して、需要に応じて適正価格で提供することで、森林所有者と林業事業体、建築業者と施主の双方に利点があり、地方創生につながることを強調しました。こちらの熱い思いが記者とデスクに通じたようです。
☆ 掲載されての感想
林業の話題が朝刊1面に掲載されるということは普通ではありえませんが、「明るい話題である」ことから正月特集記事に選定されました。関係者や皆様からも驚きと激励の言葉をいただきました。事業参画者一同、皆で素直に喜んでいます。お礼申しあげます。研究室の学生と精密林業計測の若い社員は、林業と建築がデジタル連携するドローンtoハウジングの実証に向けて、目を輝かしています。ご支援の程、宜しくお願いします。
☆まとめ 「塾頭の一言」 酒井秀夫
林業と建築がデジタル連携することで、需要に応じて適正価格で製品を提供し、収支のプラス転換をしようとされています。プラスになれば、経営レベルで「伐って・使って・植える」が実現されます。目的はシンプルで、シンプルこそベストです。実施体制は、信州大学、精密林業計測、北信州森林組合、ウッドステーション、森林連結経営で、プレイヤーは学生、若い社員から、業界の裏も表も熟知した面々までが揃い、それぞれの持ち味を伸ばしてジグソーパズルを組んでいけば、どんな成果が生まれるか大いに楽しみです。