近年、「ギグワーカー」言う語が流行しています。ギグワーカーとは、インターネットを使って単発の仕事を請け負う人達のことをいうのです。単発の仕事は、古くからありました。でも、ネットで仕事を手軽に結びつけられるようになったので、状況が激変したのです。これを「山村振興」に導入することを考えます。
□[山村振興] ギグワーカーの山村振興への導入を考える
過疎の村 岡山県西粟倉村の改革を参考に
[ギグワーカー]
☆前書き
最近、「ギグワーカー(注1)」と言う語が生まれ、急拡大しています。これはインターネットを通じて、単発の仕事を請け負う人達のことをいうのです。単発の仕事は、昔からありましたが、ネットで仕事を手軽に結びつけられるようになったので、状況が著しく変わったのです。
2020年6月15日の日本経済新聞(参考資料1)に、これが出ていました。今日は、これを読んでブログを書きます。
☆本文
ギグワーク(注1)が今、大流行しているのは、人工知能(AI)やIoTの最先端技術が深く浸透している東京などの大都市です。山村には、縁がないように思えます。
でも山村を、これから活性化させ、人口を少しずつでも増える地域にしていくには、それをどんな人達に実施してもらえば良いのか、それが大問題です。記事には、「ギグワーク(注1)」の担い手は、「単一の仕事に頼っている人」とありますが、山村では、その単一の頼れる仕事とは、「林業」以外にはないでしょう。今後、山村で活性化活動を進めていくには、林業と関連産業の仕事を、少しずつ効率を上げ、余裕時間を生み出し、これをギグワークで、上手に、活性化事業に振り向けていくしかないのです。
これを具体的に考えるとき、好都合なブログを、私は過去に書いています。それは2年ほど前の、2018年8月5日のブログです。次に、それを取り上げて読みましょう。
[参考になるブログ]
□(223)過疎の村に30社のベンチャー起業が集結
IoTで木の管理を実施 2018年8月5日
☆前書き
日本の林業再生には、IoTを使ったスタートアップが生まれることが必要だと、私は、常々考えていました。ところが、既に、凄い先行例がありました。ここでは、この記事(参考資料2)を引用して、ブログを書きます。記事は、以下のように書いています。
☆引用
「過疎の山に起業が集結 IoTで木の管理も。村の面積の約9割が「山」である岡山県西粟倉村。この人口1500人ほどの小さな村では、林業の復活に取り組み、この10年で30社以上が起業。総売上は年間15億円に上っている。
子ども用の家具や遊具の販売で約2億4千万円を売り上げる『木の里工房 木薫』や、これまで見向きもされなかった、間伐材を活用した事業や、ゲストハウス事業などで、年間約7千万円の売り上げを達成した『sonraku』など、ベンチャーが活躍、『ローカルビジネスのシリコンバレー』と呼ばれている(参考資料2から引用)。」
☆本文
同村では、村役場が中心となって雇用対策協議会を作り、移住や起業をサポートしています。総務省の「地域おこし協力隊」などの制度も活用してきました。そして村の森林でしっかり稼げる仕組みを作りたいと、2009年に掲げたのが「百年の森林構想」です。
ここでは「村内だけでなく、村外にいた1300人ほどの山主に、役場が総当たりでぶつかって、村全体の山をまとめる努力を進めてきました。そして、自力で管理できない所有者の山を、役場が預かって管理するという体制を整えてきました。山主も山に愛着がありますので、当初は役場に任せるのに抵抗があったのです。
でも、粘り強くやっているうちに、若い人が増えてきたのです。次第に機運も高まってきました。そこで、山主が一生懸命に育ててきたものに、さらに手をかけて良いものにしていく活動に広げていきました。そして、その活動の中で出てくる間伐材を、外に売っていきました。過疎だった村が、今では子どもの数も増えてきたのです(参考資料2を参照して記述)。
☆むすび
なぜ、この山に、林業スタートアップが30社も集結したのでしょうか。それは、スタートアップがやりたいことを、誰にも邪魔されずに実施できたからです。全く邪魔をしないことが、実は、最大の支援なのです。そして、「これをやってくれますか」「○○を貸してくれますか」と、手伝って欲しい、貸してほしいというものを、言われた通り与えてやるのが良いのです。そうすると、スタートアップは、凄い世界を作ります。
一方で、AI、IoTの日進月歩の進化は凄いのです。どんどん先へと飛んで行きます。また、このような環境には、最新技術がどんどん入ってきます。最先端技術の方も、実験場が必要なのです。
また、この村では、山は持っているが、育林への関心が乏しかった人の山も、全部引き受けました。その上で、一生懸命に育林してきた人の山も引き受け、預けたから駄目になったと思われないように頑張りました。(参考資料1を参照して記述。「 」内は引用)
☆まとめ
西粟倉村では、山全体が産業を形成しており、産業改革が進んでいました。すなわち、この山に来ていた30社のスタートアップは、林業の産業革命を推進する先導者でした。これを日本全国に広げて行けば日本の林業再生は、着実に進んでいくと思われます。でも、これを全国に広く展開するのは至難なのです。そのために「ギグワーク」を巧く山村に移植できれば、前進する可能性が高まると思います。
でも、越えねばならない難しい点はあります。今、林業従事者に、AI、IoTに強い人は、多くはないと思われます。この壁を越えねばなりません。この壁を越えるのは、「ギグワーカー」が使うためのツール、スマホアプリを、AI、IoTに関心の薄かった人達でも、操作できるものに、進化させねばなりません。さらに、山村の林業従事者を広く、教育しなければなりません。これをツールに仕事が出来るように、また、やる気が出るようにする、教宣活動が重要です。
これは重い仕事です。容易ではありません。でも、「山村振興」を日本全土で進めるのは、容易ではことではないのです。西粟倉村に、2018年から来ていた、30人のスタートアップのような人達が、広く参加してくれれば、道が拓けるでしょう。皆で、頑張ばりましょう。(この項、2020年6月記述)
(注1)ギグワーカー:インターネットを通じて、単発の仕事を請け負う人のこと。AI、IoTの急速な発展により、単発に発生する仕事を容易に結びつけられるようになった。近年、活用が急増している。ギグワーク:ギグワーカーにより、結びつけられる仕事。
(注2) 参考資料2、AbemaPrime(アベマプライム):インターネットテレビ局 AbemaTV:テレビのニュースチャンネル。
(注3) 西粟倉・森の学校:百年の森林事業に取り組む西粟倉村において、 地域の資源を活かした商品開発や販売を行う会社として2009年10月に設立。
参考資料
(1)日本経済新聞、2020年6月15日。
(2)過疎の村にベンチャー起業が山に集結。IoTで木の管理も、AbemaTV、
AbemaPrime、2018年7月19日。
[付記]2020年6月26日、椎野潤記。
[コメント]
東京で、最近、増えている「ギグワーカー」の仕事は、商品やウェブサイトのデザイン、映像の編集、プログラミングといった分野です。山村では、東京で作られた、このツールを使って、西粟倉で進められていたような事業を、実務的に展開する仕事になるでしょう。東京にいるギグワーカーとの緊密な連携が、極めて重要です。東京のギクワーカー
に、テレワークで協議に参加してもらう必要があります。ここでは、まず、東京と山村の双方のギグワーカーを結ぶ体制作りが先決です。具体的な最初の目標は、東京のギグワーカーと西粟倉村のスタートアップに、山村新興の話が出来る人材を、各山村に一人ずつ作ることです。