日本経済新聞社が報じた「コロナ対応調査」の関東圏での分析結果を、今日のブログに書きます。
林業再生・山村振興への一言(再開)
2021年12月 (№164)
□椎野潤(続)ブログ(375) 関東圏のコロナ対応 千葉県 埼玉県 神奈川県 大苦戦乗り越え貴重な体験 群馬県 県独自の対応 快進撃 2021年12月10日。
☆前書き
日本経済新聞社は、コロナウイルスへの取り組みの関東での分析結果も、2021年10月23日朝刊に書いていました。記事は、以下のように書き出しています。
☆引用
「新型コロナウイルスへの対応力を巡っては、関東圏は一時病床稼働率が悪化するなど、指標によっては苦戦が強いられた。各都県は人口が多く、一時爆発的に感染が拡大したことなども背景にある。ただ、群馬県がワクチンの全人口接種率で全国2位に入るなど、これまで力を入れてきた取り組みがうかがえる点もあった。(参考資料1、2021年10月23日、日本経済新聞から引用)」
☆解説
神奈川県、埼玉県、千葉県は、超巨大都市東京を取り囲む大きな人口を持つ地帯として、コロナの悪魔の襲撃に、最も厳しい対応を迫られた地域でした。ですから、この3県のコロナウイルスとの闘いは、苦戦の連続だったのです。でも、よく頑張りました。そして、難関を乗り越えたのです。従って、これらの地域の自治体も市民も、良い経験をして、大きな自信を持ったのです。今日のブログでは、神奈川、埼玉、千葉が危機を乗り越えた姿を中心に、まず書きます。
また、特筆しなければならない存在として群馬県があります。同県は早くから、コロナ対策に対応し、県知事の決断で、ファイザーのワクチンとは別に、モデルナのワクチンを国から供給を受け、県民の38%以上が、これを接種したのです。この群馬県は立派でした。首都圏3県に加えて、群馬についても記述します。
[神奈川県]
神奈川県は、「ピーク時確保病床率」が、一時、全国ワースト2位になりました。人口が9000万人を超える同県では、人口あたりの病院の施設数や病床数は、全国で最少なのです。コロナ以前から、医療資源に問題があったのです。超巨大都市東京に隣接していますから、それが表明化しなかったのです。ですから、第5波では一時、不要不急の入院を先送りする「災害級」の対応を余儀なくされました。
県は、2020年末の第3波で、病床確保が予定より遅れたことを踏まえ、3週間程度で病床を確実に確保できるように、個々の病院と協定を結ぶ独自契約方式を進めました。これにより、一時は県が定めた病床確保フェーズを上回る病床数を用意してもらえたのです。
[埼玉県]
埼玉県は、人口あたりの医師数が全国最下位なのです。医療体制が脆弱な自治体です。このため、第5波の感染爆発で自宅療養者が急増し、入院率が低下しました。感染拡大ピーク時の入院率は6.63%と、全国でワースト3位だったのです。自宅療養者の健康観察を手掛ける県の宿泊・自宅療養者支援センターについては、業務を外部委託していましたが、感染者の急増で、状況が逼迫しました。そのため、自宅療養終了者の数を適切に管理できず、2021年8月中の大半の自宅療養者数が、過大計上される事態になりました。県は、その反省から委託契約業務を抜本改革しました。
埼玉県は、1904床のコロナ患者向け病床を確保しました。確保病床数の増加率は40%で全国15位です。感染拡大地域では上位を占めました。
[千葉県]
千葉県では、重症者向けのピーク時病床使用率が80%を超え、ピーク時入院率も8%未満となるなど、各項目で低い順位となりました。ここで取り上げている3県で、最も厳しい状況に追い込まれていました。千葉県は、その苦しい状況を深く認識して、2021年夏には、きわめて厳しい「病床確保計画」を策定しました。深刻度合いが最も高い「フェーズ4」では、一般医療を抑制してコロナ対応を優先させました。そうして、現場の混乱を防止したのです。
さらに、病床逼迫で自宅療養者が増えたことを受け、病状の急な悪化にも対応できる体制の準備を進めました。血中の酸素濃度を測定する「パルスオキシメーター」を大幅に増やして全員に行き渡るようにしました。また、酸素ステーションを設置し、入院できない状況でも、最悪の事態が起きないように工夫しました。すなわち、千葉県は、最悪の状態を想定して、対策に万全を期しました。
[群馬県]
群馬県は、ワクチン接種率が全国2位になりました。米ファイザー製を使う市町村とは別に、県が自ら大規模なワクチン接種センターを、2021年5〜6月に、県内2カ所に開設し、国からモデルナ製ワクチンの供給を受けて接種を進めました。
2つの県営センターでの接種能力は、1日1万1000回です。ファイザー製ワクチンの供給減少で、市町村が接種計画の修正を迫られるなか、多くの県民が県営センターを利用してワクチンの接種を受けることが出来たのです。県営センターでの接種実績は、2021年10月7日時点で、計74万人に達しました。人口193万人の群馬県で、人口の38.3%が、この県独自の対策で、ワクチン接種を受けられたのです。(参考資料1、2021年10月23日、日本経済新聞を参照引用して記述)
☆まとめ
この群馬県知事の積極果敢な行動が、早くから全国に伝えられていれば、日本人のコロナへの安心感の獲得は、大分、早くなっていたと思います。群馬県は、ポストコロナの経済再建でも、今後の対応次第では、早く進む可能性があります。私は今後、群馬県の動向に注目します。
この動きは、県レベルのことでしたが、市町村レベルでも、企業レベルでも同じことが言えるのです。企業も、危機に瀕した時、従業員の命を守るために、経営者の決断が、極めて重要です。また、コロナ危機からいち早く脱出して、企業を瀕死の状態から救い出すのは、企業経営者の最大責務です。ここでは積極的な決断と熱意が鍵です。
でも、今回のワクチン接種では、副反応は、結果としては軽微でした。でも、いつもこう巧くいくとは限らないのです。
今回のコロナの事例では、世界に先行している国の事例がありました。その正確な情報を、他に先駆けて取得し、世界の一流の専門家による顧問団を形成して、最大限、正確な判断ができる体制を築いていくことが、企業経営者の最大責務です。ここでは企業経営者の例として話していますが、それを、国レベルに拡大したのが、国の首長の仕事です。
コロナの第5波の終息は、今のところ、私が想像していた以上に好調なのです。もし、コロナがこのまま終息したら、または、それに近い姿を感じられたら、それは日本民族の凄さを示すものだと思います。これを考えるとき、100年前の内村鑑三の言葉を思いだします。鑑三は以下のように述べてます(参考資料2、注1)。
「国には、暗き時に臨み(のぞみ)し時があります。この時に、精神の光が必要になるのであります。」「国の興ると亡ぶとは、このときに、定まるのであります。どんな国にも、暗黒が臨み(のぞみ)ます。そのとき、これに打ち勝つことのできる民が、永久に栄えるのであります(参考資料2、注1)。」
コロナが予想を超えて速やかに終息したとすれば、それは日本の民の力です。日本人は「自分たちは、人間集団として、そのような凄い能力を持った民族なのだ」と、はっきり自覚して、あらためて自信を持つことが重要だと思うのです。日本人は「空気を読める」のです。「和の社会を作れる」のです。一人ひとりが忠実に「守るべきことを守り、危機から集団を脱出させること」が出来るのです。今回のコロナとの闘いと危機からの脱出の経験は、日本民族にとって貴重な体験でした。ポストコロナでの日本人の成長が凄く楽しみです。(参考資料1、2021年10月23日、日本経済新聞を読んで思考して記述)
(注1)参考資料2、pp.34。
参考資料
(1)日本経済新聞、2021年10月23日。
(2)椎野潤著:内村鑑三の言葉、現代社会を突き抜ける金言、われわれは、この世に、何を遺して逝くのか、2012年9月9日、メディアポート。
[付記]2021年12月10日。