
□ 椎野潤ブログ(大隅研究会第21回) NPO法人おおすみ100年の森活動報告R7年3月 垂水市との連携協定に向けて
おおすみ100年の森代表理事 大竹野 千里
当法人は、2022年4月に【人の手によって適切に管理された生物多様性のある大隅の森つくり】を目的に発足致しました。2019年度から始まった森林環境譲与税と森林経営管理制度の有効な活用を通して地元おおすみ林産業を活性化させ、持続的な大隅半島地域を振興するために活動しています。
「大隅研究会」としまして再三申し上げている、大隅半島での森林・木材業第一の課題は、「再造林」です。全国各地、この再造林課題について様々な取り組みがなされ成果も現れているとの報告を読むたび、大隅半島の森林・木材産業の現状を憂いていましたが、ようやく、第一歩を踏み出しました。
3月、垂水市とNPOおおすみ100年の森連携協定に向けたWGが開催されました。令和7年度の連携協定締結に向けたWGにも関わらず、当団体理事7名に加え垂水市尾脇市長も同席して頂き、その熱量に感銘を受けました。と同時に、垂水市自ら『本市産業構成の中でも林業・木材産業は非常に低位』『大隅森林組合以外に林業関係の事業体がない』と課題をはっきり示しておられました。
具体的な取り組みとして上がっているのが森林整備・再造林の推進 森林林業・木材産業の普及啓発、環境教育への取組 講演会・意見交換会等への参加の3つです。重要順位としてはからへとなりますが、いきなり本丸に取り組むことは現実的ではありません。(出来るなら最初から問題になってない)令和7年度先ずは、の取り組み案から進めていくことを確認して閉会となりました。
誰しも自分の欠点を公に認めたくはないもの。しかし、垂水市はしっかりと厳しい林業・木材産業の現状を認め、それでも前に進もうという姿勢があります。この場でも再三申し上げておりますが、「現状を言語化し、課題を共有する」ことは、連携をとる上で非常に重要となります。この現状認識が合致したことが、連携協定締結へ進むことができた第一の要因と考えます。
今回の連携協定には、鹿児島県大隅地域振興局農林水産部林務水産課にオブザーバーとして入っていただいております。また、垂水市には鹿児島大学農学部付属鷹熊演習林があり、R7年開校のかごしま林業大学校の実習地でもあります。多くの林産業専門の方々に指導助言頂きながら事業を進めていきたいと考えております。
☆まとめ 「塾頭の一言」 酒井秀夫
垂水市との連携協定締結に向けたWGにおいて、法人の使命である「再造林」に取り組む前に、「現状を言語化し、課題を共有する」ことで、現状認識が合致しました。林業では、今まですべてが同聴異聞で、共通言語がありませんでした。例えば、皆伐や列状間伐などでも各人のイメージは異なります。再造林のイメージも時間軸、空間軸において異なるでしょう。活動を始める前に関係者が同聴同聞になる必要があります。
森はうそをつきませんので、人は森から多くのことを学びます。森づくりは人づくりでもあります。連携協定に様々な立場の方が参加して、劇場化してください。いま苦しいのは林業だけではありません。円安、物価高、少子高齢化等で、日本全体が苦しい立場に置かれています。今回、連携協定のたしかなスタートが切られましたので、林業を先頭に大隅の美しい自然や経済に明るい未来をもたらしてください。