飛騨市河合町から白川郷に抜ける国道360号線に「天生(あもう)峠」があります。天生峠は泉花鏡の「高野聖」の舞台にもなった場所です。この天生峠を登山口として天生高層湿原、そして豊かなブナとカツラの原生林が残る籾糠(もみぬか)山(1744m)につながる登山道があります。
ここは飛騨森林管理署(高山市 原 修署長)が管理する天生国有林となっており、(社)名古屋林業土木協会古川支部(柳 七郎支部長)では”フォレスト・サポーターズ”の活動として、標高1400mにある高層湿原内の木道整備と登山道脇にあり倒れる危険がある樹木について登山者の安全確保を目的とした伐採などの保全活動に飛騨森林管理署とともに15名の参加者により取り組みました。
天生湿原中央には「匠神社」がまつられており、「飛騨の匠」伝説の地でもあります。
天生の豊かな自然は、春、ブナやカツラの芽吹きとともに咲き誇る湿原植物の花々、秋、山全体が燃えるように色づく紅葉など多くの人々を魅了し、東海北陸自動車道の全通も相まって近年登山者が急増、地元では保護管理協議会が中心となって地域の貴重な自然財産は地域で守ろうと様々な保全活動に取り組まれています。
こういったことから、古川支部では地域からの要望にも応え、毎年飛騨森林管理署と協働し、夏には外来種植物の除去、秋には紅葉シーズンも終わり入山者が少なくなったこの時期に、会員の技術と知識を生かし湿原と登山者の安全に向けた保全活動に取り組んでいるものです。
当日は午後から雨になる冬枯れの天生でしたが、それでも十数名の登山者があり、登山者からは「こういった活動のおかげでこんなにすばらしい自然が安心して楽しめるんですね」といった感想も聞かれました。
古川支部では今後も”フォレスト・サポーターズ”として国有林や地域と連携し、また、来年は岐阜県で「全国豊かな海づくり大会」が開催されることも意識しながら「美しい森林づくり推進国民運動」に取り組んでいく考えです。