林業再生・山村振興への一言(再開)
2020年8月(№30)
□椎野潤(続)ブログ(241)なぜ、一般社団法人 ぎふフォレスター協会を設立したのか(その2) 協会設立 2020年8月28日
☆前書き
今日のブログは、前回の続きです。小森胤樹(注1)さんから「ぎふフォレスター協会」の設立の経緯を、伺います。(聞き手=椎野潤)
☆インタビュー
[今日は、「ぎふフォレスター協会」の設立に至る経緯を、詳しくお話していただけますか]
森林総合監理士の認定制度(森林総合監理士についてはその1参照)は、2013年度(平成25年度)から始まりました。岐阜県において、登録者が増えたことから2016年10月、森林総合監理士の資格取得者の任意団体、岐阜県フォレスター協会(以後県フォレ協)が、設立されました。
この「県フォレ協」は、ぎふフォレスター協会(以後ぎふフォレ協)が生まれた母胎となったものです。「ぎふフォレ協」は、県フォレ協の民間有志が、さらに先進的にフォレスター活動を切り開いていくために、 スピンアウトして設立した法人組織です。
県フォレ協の会員は、ほとんどが岐阜県職員の資格保持者ですが、林野庁職員(設立時)も、民間人も参画している団体なのです。現在、会員の自己研鑽の場として活用されています。
2016年、岐阜県は、市町村が必要とする人材育成のため、岐阜県独自の「岐阜県地域森林監理士」という資格制度を定めました。県がこの制度を作った理由は、異動する行政フォレスターに変わり、地域をサポートし続ける民間フォレスターを確保するためです(参考資2、注2)。これにより民間の森林監理の専門家が、県内で増えてくることになりました。2020年3月現在、18名います。
そして2019年度に入り、「ぎふフォレ協設立」に向けて動きだしました。そこでは、森林総合監理士取得者だけでなく、岐阜県地域森林監理士取得者の方にも、働きかけました。そして「個人の活動だけでなく、法人を組織して積極的に活動して行ければ、大きな成果が上がる」ということを説明し始めました。
岐阜県には既に、「市町村等における岐阜県地域森林監理士の活用促進」という、森林経営管理制度に係る市町村支援のメニューが存在しています。地域林政アドバイザーを雇いたい市町村に対して、岐阜県地域森林監理士を活用すれば、市町村負担の半分を支援するという仕組みです。私自身、2018年度に、この制度を利用して、郡上市から委託事業を請負いました。
また、2019年度には、岐阜県地域森林監理士の市町村への認知度を上げるため、県が主催する市町村林務担当者研修の1講座として、活動事例報告と相談会を実施し、岐阜県地域森林監理士が実施出来ることを知ってもらう場を作って頂きました。そして、その研修会において、これらの岐阜県地域森林監理士等の団体が出来た場合、市町村支援を依頼したいか、依頼し易くなるかというアンケートを実施しました。その結果、多くの市町村から検討したい、助かるという意見を頂きました。また既往の全国調査結果も、林務体制が充実していない市町村ほど、 フォレスターへの期待が高くなると指摘しています。
この結果からも、やはり個人での活動だけでなく、法人としての活動が必要だと判断し、活動の趣旨に賛同してくれた4名とともに、「ぎふフォレ協」を2019年11月に設立するに至りました。
われわれは、専門的知見に乏しい市町村が、どのようなことから手をつければ良いのか、長期、短期のゴールの設定から始める受け皿として、活動したいと考えています。そのため、法人名は「ぎふ」とつけていますが、全国どこの市町村からの依頼でも受けることにしています。それで「岐阜」と書かずに「ぎふ」と書いています。
5人のメンバーはそれぞれの立場で、自身が住んでいる市町村の林務行政に関わっています。森林組合職員であったり、元行政フォレスターから民間フォレスターに転身して仕事をしていたりと様々です。
先に各種論文のデータを引用し、全国の市町村の状況を確認しました。それからも、全国の市町村には、困っているところが多く、フォレスターの助けを求めていることが分かりました。ですから、本法人に参画してくれたメンバーは、現在の立場で考えるだけでなく、より広く、困っている市町村を助けることが、すごく重要だと考えています。それで、自分の得意とする分野で、手伝えることがあるなら助けたいと、参画してくれたのです。(聞き手=椎野潤)(参考資料1から引用)
☆まとめ
ここまでに、「ぎふフォレスター協会」の設立に至る経緯を、小森胤樹さんに丁寧なご説明をいただきました。この続きの次回は、今回のインタビューの最終回です。さらに盛り上がります。楽しみにお待ちください。
(注1)小森胤樹:一般社団法人 ぎふフォレスター協会代表理事、森林総合監理士、岐阜県地域森林監理士、林業技士(林業経営)、郡上エネルギー株式会社 代表取締役、株式会社郡上割り箸 代表取締役。
(注2)参考資料2、pp.162、第5章 政策と現場 をつなぐ自治体フォレスターの可能性 中村幹広。
参考資料
(1)小森胤樹:なぜ、一般社団法人 ぎふフォレスター協会を設立したのか、2020年8月。
(2)森林未来会議、築地書館 2019年6月5日。
[付記]2020年8月28日、椎野潤記]