林業再生・山村振興への一言(再開)
2021年2月(№78)
□ 椎野潤(続)ブログ(289) コロナ危機の中でスタートアップ躍進(その3) 国内有力スタートアップ 従業員2割増 2021年2月16日
☆前書き
新型コロナ危機のもと、産業界全体では、企業の採用意欲が減退し雇用は減っています。この中で有力スタートアップ(注1)の人材採用は増加しています。日本経済新聞の1月16日の朝刊は、以下のように書いていました。
☆引用
「有力スタートアップ(注1)企業が、新型コロナウイルス下でも、採用人数を増やしている。国内で企業価値が大きい44社の従業員数の合計は、2020年3月末に比べて約2割増えた。企業のデジタル化を後押しするIT(情報技術)企業が多く、コロナ下で商機が広がり積極採用に動く。雇用の受け皿としての期待もできるが、振興企業が求めるIT人材は不足し、需給ギャップの解消が課題だ。(参考資料1、注4を引用)」。
☆解説
日本経済新聞は、2020年秋に実施した「NEXTユニコーン調査」で、推計企業価値が120億円を超える上位60社を対象に、2020年12月に、アンケート調査を実施して、44社から回答を得ています。
2020年11月末の44社の従業員数(契約社員やアルバイトを含む)は、緊急事態宣言発令前の3月末に比べて、17%増の6294人でした。4〜11月の採用人数も1491人で、前年同期の1314人を上回り、コロナ下でも採用を増やす企業が多かったことが分かります。
人工知能(AI)を使った学習教材を提供するatama plus(アタマプラス、東京・品川)は、「コロナ下で、オンライン授業などの教育のDX(注2)が進み、サービスの開発や塾への導入の支援を、強化するため、採用に力を入れている」と話しています。
オンライン商談システムのベルフェイス(東京・渋谷)も、営業担当者やカスタマーサポートを中心に、前年同期に比べ、4倍多い113人を採用しました。(参考資料1、注4を参照して記述)
☆まとめ
でも、当然、課題はあります。その最大の課題は、IT人材の不足です。調査した44社のうち32社が、IT職を採用したくても難しいと回答していました。現実には、スキルの高いエンジニアは人気も高く、獲得は著しく難しいのです。
また、中途入社した人材の前職の業界を聞いたところ、IT業界、メディア業界など、同業内の移動が多数でした。結局、飲食業や観光業界などで、余っている人材は、吸収できていないのです。
私は、ここで、2021年1月19日のブログに書いた「ノーコード(参考資料2、注3)が重要だと思いました。「ノーコード」というのは、現在、ITエンジニアと言われる人たちがやっている仕事を、今は、ITエンジニアと呼ばれていない人たちに、実施してもらう人材技術開発です。
ITエンジニア教育を強化することは、もとより重要ですが、観光・飲食などの経験と知識のある人で、ITについては、それができない人たちに、ITがらみの仕事に参加してもらうのです。
コロナ危機が、一段落した後には、観光も飲食も、元にもどるのではありません。一層、高レベルで高生産性な次世代産業に進化するはずです。その時にそなえて、準備しておく必要があるのです。そこでは、各産業の見識・技術を持ち、ITがらみの仕事ができる人材の需要が急増するのです。それを育てておく必要があります。
また、林業再生・山村振興の改革でも、林業・山村改革に関する見識・技術を持ち、ITがらみの仕事ができる人材を必要としています。直ちに、育成を始めねばなりません。これを長い目でみて指導できる方の元を訪ね、指導を懇願しましょう。(参考資料1、注4を参照して記述)。
(注1)スタートアップ:「始める」「起こす」「立ち上げる」という意味を持つ英語表現。スタートアップ企業:新しく設立された会社のこと。特に、新規事業領域を開拓する会社のこと。
(注2)DX:デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation; DX):「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的であるが、おおむね「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」 という意味で用いられる
(注3)参考資料2、日本経済新聞、2020年12月26日から引用。
(注4)参考資料1、日本経済新聞、2021年1月16日朝刊、「国内有力振興 従業員2割増」という見出しの記事から引用ならびに参照。
参考資料
(1)日本経済新聞、2021年1月16日。
(2)椎野潤(続)ブログ(281) 誰でもアプリ 開発ひろがる ノーコード専業ヤプリ上場 ビームスなど450社が採用 2021年1月19日。
[付記]2021年2月16日。