林業再生・山村振興への一言(再開)
2021年7月 (№124)
□ 椎野潤(続)ブログ(335) 人口増 300市町村 育児支援が効果
2021年7月23日
☆前書き
日本は、少子高齢化が進み、人口減少が続いていきます。これで日本の未来は、どうなるのだろうかと、不安が募ります。でも、各地では、これに対する危機感から、地道な努力も重ねられています。ここでは、頑張って人口が増えている市町村を探索してみました。2021年6月26日の日本経済新聞が、これに関する記事を書いていました。今日は、これを取り上げてブログを書きます。まず、この記事の「書き出し文」の引用から始めます。
☆引用
「総務省が、2021年6月25日に発表した2020年国勢調査(速報)は、大都市への人口集中の加速を浮かび上がらせた。人口が増えたのは、東京など大都市を抱える自治体を中心に9都府県にとどまり、秋田など38道府県で人口が減少した。ただ、総人口が減る中で、子育て支援の充実などで人口を増やした市町村も約300自治体あった。成功事例を生かして地方の縮小を食い止める知恵が問われている。」(参考資料1、2021年6月26日の日本経済新聞から引用)
☆解説
外国人を含む総人口は、2020年10月1日の時点で、1億2622万6568人と、2015年の前回調査と比べて0.7%減りました。前回の調査に続き2回連続の人口減少です。
47都道府県のうち増加を維持したのは、首都圏の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)と、関西(大阪、滋賀)、中部(愛知)と福岡、沖縄の9都府県に止まりました。人口が減った38道府県のうち、減少率が最も大きかったのは秋田県でした。減少数が最多だったのは北海道でした。福島、茨城、群馬、山梨、長野を除く33道府県は、前回調査から、マイナス幅が拡大しました。
市町村別でみると、全国1718自治体の8割以上で人口が減りました。減少数のトップは北九州市で、新潟市、長崎市が続きます。日本経済を支えてきた政令指定都市や県庁所在地の衰退が目立ちます。
でも、多くの自治体が人口減に苦しむ中で、人口を、着実に増やすことに成功している自治体も少なくないのです。日本全国の人口減少に、歯止めをかけるには、こうした市町村の成功例に学んで、皆で努力することが必要なのです。
人口増の最優等生は5年前に比べて人口が14.7%増えた千葉県流山市です。原発事故の避難解除で戻ったという例外を除けば、流山市は市町村別で最高の増加率でした。つくばエキスプレスが開通したのは2005年で、いまから16年前です。この時に開発された駅周辺の市街地は、商業施設や公園が、バランス良く整備されました。この頃から少子高齢化による人口減少の危機を予見して、子育てし易い街づくりが進められていたのです。流山市では、駅前で児童を預かり、保険所までバスで送迎する行政サービスが、時代に先駆けて行われていたのです。充実した子育て支援で若い世代を呼び込むことが、人口増につながるカギの一つだということは、これで良く分かりました。(参考資料1、2021年6月26日、日本経済新聞を参照引用して記述)
☆まとめ
ここで、人口増加率で上位の自治体を列記して見ます。
[人口増加率で上位の自治体]
人口の2015年比の増減 出生率(2013〜2017年)
(1)千葉県流山市 14.7% 1.58
(2)福岡県福津市 14.2 1.66
(3)沖縄県中城市 14.0 1.86*
(4)沖縄県北中城市 11.4 1.91*
(5)千葉県印西市 10.8 1.39
(6)福岡県久山町 10.4 1.52
(7)福岡県新宮町 8.6 1.85*
(8)埼玉県清川町 8.1 1.61
(9)北海道占冠村 7.9 1.28
(10)沖縄県南風原町 7.9 2.22*
(11)福岡県刈田町 7.8 1.91*
(12)神奈川県開成町 7.8 1.54
[参考]全国平均 ―0.7 1.43
(参考資料1から引用、*印:希望出生率1.8を超えている地域)
この人口増加率で上位12位までの中に、前回のブログに記述した「希望出生率1.8(注2)」を超えた町村が5カ所あります。これを県別に見ますと、沖縄県が3、福岡県が2です。これをみていると、「子供は宝、しっかり授からなければ」という気風を維持している地域も、さらに細かく見ていけば、まだ、あちこちに、残っているのだと思えます。
このような地域の風土は、国民が皆、これを思い出し、大切にしていかねばなりません。前回のブログと、このブログに書いた、経済的な「子育て支援策」を強力に実施すると共に、「子供は宝だ、天に感謝する」という風土へ回帰することも大事にしていくことが、日本の未来を考えるとき、大変に重要だと痛感しました。参考資料1、2021年6月26日、日本経済新聞を参照引用して記述)
(注1)合計特殊出生率(total fertility rate、TFR): 人口統計上の指標で、一人の女性が、出産可能とされる15歳から49歳までに、産む子供の数の平均を示す。
(注2)希望出生率1.8:若い世代の希望が実現すれば、出生率は1.8程度に向上すると想定されることから、政府は国民の「希望出生率」として「希望出生率1.8」を定めた。
参考資料
(1)日本経済新聞、2021年6月26日。
[付記]2021年7月23日。