□ 椎野潤ブログ(大隅研究会第四回) 3年ぶりの九州林業経営者協会連絡協議会
森田俊彦
3年ぶりの九州林業経営者協会連絡協議会が福岡県農林業総合試験場 資源活用研究センターで開催されました。コロナ禍と組織の高齢化、会員減少等厳しい環境での有志によるひさびさの開催でした。私自身も10数年ぶりの参加でしたが、過去の会議は九州各県から多くの林業経営者が集い和気あいあいと何事もなく閉会していたと記憶しておりました。
今年は、コロナ禍ということあり福岡、熊本、鹿児島、大分、宮崎の20名弱での会議ではありましたが、活発な意見交換会になりました。
各県の報告の後、提言の発表では特に下刈り補助金の有り方について、国と各県の実態に合っていないのでないかと発言有り(国は下刈り補助金適用する林齢10年生以下、大分県は5年生以下)、九州各県の補助要綱を調査してみることとなりました。
皆伐して再造林を進めたくても苗木不足もありますが、下刈りの負担を考えると、中々進められない等、労働負荷と担い手不足の根幹に費用負担が、のしかかっている問題で協議されました。
また、それらの課題を踏まえて山主にもっと山林経営に意欲的になってもらえるよう、早生樹を植林していく事業(植えた人がその世代で伐採して収益する)を組み入れてみようとの意見もありました。
その他にも、環境にやさしい架線集材の活用と担い手確保や末口30cm以上の大径木の活用、バイオマス発電用木材の価格決定の有り方等様々な意見交換が出来ました。
森林環境税、森林経営管理制度までは、時間の都合もあり協議できなかったのは残念でした。
この何年かで、森林経営者の方々も危機感をあらわに発言されるようになったのだなと感銘を受けた次第でした。
今後は、これらの意見を集約整理して九州の林業経営者皆さんで声を上げていこうということとなりました。
☆まとめ 「塾頭の一言」 本郷浩二
補助制度の説明をまずしておきます。森林整備事業の補助金は森林所有者等を県が補助する場合に国が県を補助するという制度で、国の要綱・要領の範囲内で県に補助事業の運用は任されているので、このような国の要領では10年生までになっていますが県では5年生までといった事例が起こります。自然条件の問題もあります。地域により植栽木の成長や競合する植生が異なることで地域性を勘案して県が決める裁量を持っています。大分県では木が速く育ち、平均的に5年間下刈りをすれば下層植生の高さから脱して成林が見込まれる、という理屈になっているのでしょう。予算全体の膨張を抑えるために、6年、7年と下刈りをやりたい人がいるとしても限度を決めざるを得ないという事情もあるかもしれません。個別に下刈りをやらなくてはどうしようもないところは、県独自の森林環境税や市町村の環境譲与税を使って助成措置を講じてもらうよう要望するということになります。
ところで、この高温の夏が続く時代に下刈りという重労働を作業者に課すことは作業者の確保や労働衛生の面から考え直す必要があると考えざるを得ません。下刈りをしない、減らす林業を目指すことも必要でしょう。林業に関するその他様々なことについても、自然条件や社会の色んな変化を受け止めて、お話のように、従前と同じことをやっていくのではなく林業を変えていかなければならないと思います。これが危機感の正体なのではないでしょうか。関係者、異業種の方、産学官との意見交換などの中で、ぜひ変える努力をしていってください。