今回は、『おおすみ100年の森』のFSC森林認証、グループ認証取得についての進捗についてご報告いたします。
1. 森林認証の視察研修(10月18日〜19日)
実際に、FSC認証を取得され運営されている球磨村森林組合、くま中央森林組合を訪問させていただきました。
『森林認証材の流通量は未だ少なく、材価など努力の余地も多くあるが、それでも林産業の将来と責任を考えると森林認証材を諦めずに取り扱い続けたい』と、両組合ともおしゃっていたのが印象的でした。
2. 森林認証セミナー(11月28日(月))
鹿児島県木材協会連合会の主催による森林認証推進セミナーに当NPO理事である山佐木材(有)の有馬社長がパネラーとして登壇され、NPOアドバイザーである鹿児島大学寺岡教授が講演されました。
NPOメンバーも参加し森林認証の運営について再確認しました。
3.2市4町、県など行政との連携について
行政(県、市町)サイドも森林情報のICT化の重要性は認識しています。しかし、導入は難航しているのが実情です。その原因のひとつに費用対効果の実証が挙げられます。
数多くある測量会社の中から、何処を選ぶのか?
どのデータがどの程度の精度で必要か?
お金はいくら掛かるのか?
使用する現場も運用する行政も初めての取り組みで誰も答えを持っていません。
鶏が先か卵が先か。実証が先かお金が先か。難しい問題です。
何億もの税金を投資するのですから、費用対効果を考えるのは当然です。が、この費用対効果ばかりを追求し、本来は生物多様なはずの森林に効率化と生産性を求めた結果、今の木材価値の低下があるともいえます。
行政サイドには現場の声をよく聞いて頂き、互いに協力し合って林産業のICT化を進めて欲しいと思います。
私たちNPOおおすみ100年の森は「人の手によって適切に管理された生物多様性のある大隅半島の森」作りを目指しています。今、山に投資するその費用対効果はいつ誰が回収するのか。孫やひ孫が山から大きな財産を得られますように。せめて負の遺産を負うことのないよう現場も群れて大きな声を挙げていきたいと思います。
林産業のサプライチェーンを進めるにあたって重要となるのが、山の情報です。
この山の情報をみんなで共有してようやく、スタートラインに立ったと言えます。
ひと言で山の情報といっても、立木の情報から地形まで多岐に渡ります。全てのデータを全ての関係者が詳細に把握する必要はなく、大切なのは何処に何の情報があるのか、情報をいかに共有するか、が大切です。
つまり森林認証をツールとした組織づくり(情報管理と経営)。
当NPOでもグループ認証取得とその具体的な運用について引き続き関係各所と協議を進めていきたいと考えています。
☆まとめ 「塾頭の一言」 酒井秀夫
球磨村森林組合、くま中央森林組合とも、林産業の将来と責任を考えて森林認証材を諦めずに取り扱い続けたいとのことでしたが、認証は消費者にその意識と知識がないと生かされません。日本はまだまだその意識が低く、無知の状態です。しかし、グローバル化の中では避けてとおれません。NPOおおすみ100年の森は、森林認証をツールとした組織づくりを目指しておられますが、「人の手によって適切に管理された生物多様性のある大隅半島の森」作りが評価されて、社会の信用を得られるようになっていけば、「どこに何の情報があるのか、誰が情報を持っているのか」に投資した費用対効果は結果としてついてくると思います。