ふるさと大使に学ぶ森林ファンづくり

椎野 潤(しいの じゅん)2025年11月(研究報告№154)

[巻頭の一言]

 自治体が地元ゆかりの人に委嘱する「ふるさと大使」制度が、地域振興の一助となっています。滋賀県では、大使となった歌手が琵琶湖で音楽祭を開き続け、経済効果が累計100億円を超すとみています。原則無報酬で、自治体の導入率は全国で3割に迫ります。観光地や特産物のPRにとどまらず、活用方法も広がっています。

ここでは日本経済新聞2025年9月20日、朝刊2面記事(桜井裕介)を参照・引用しています。

「日本再生][地域創生] ふるさと大使、振興へ効果 西川貴教さん音楽祭 100億円効果 全国で3割導入、活用多彩。

「はじめに」

自治体はふるさと大使制度を始める際、選定基準などを記した設置要綱を定めます。この点に着目し、同志社大学の条例Webアーカイブデータベース(注1)を使って「大使」の設置要綱を定める自治体の割合を集計しました。要綱を公開しない主要な自治体は聞き取りで補いました。「特使」「応援団」など異なる名称の制度は集計対象外としました。

大使制度を持つ自治体は、2024年で495と全国の自治体の27.7%を占めました。設置要綱の施行年で推移をみてみますと、5年前の2019年より5.5ポイント高まりました。都道府県別では、導入率40%の滋賀県の伸び幅が、15ポイントで最も大きく、岩手県、山梨県、長崎県が、これに続いていました。

[滋賀県]

滋賀県は2008年に、ふるさと観光大使に歌手の西川貴教さんを起用しました。西川さんは地元に大勢の人を呼び込もうと2009年から琵琶湖で音楽祭「イナズマロックフェス」を補助金なしで開催し続けています。滋賀県は同フェスの2024年の直接的な経済効果を14億円と試算しています。

三日月大造滋賀県知事は「累計では100億円を超える。間接的な効果も踏まえると貢献は計り知れない」と話しています。三日月知事は、「同年代で、私が月なら西川氏は太陽。補いあって滋賀県を照らしていきたい。」と言っています。

滋賀県では、県の成功に促され、県内自治体の新設が相次いでいます。愛荘町は2021年、町出身のお笑いコンビ「ダイアン」に、その推進を依頼しました。動画サイトで思い出をアピールしてもらい、町役場に、等身大パネルも設置しました。

[岩手県]

知名度に頼らない大使制度の活用も進みます。岩手県の「希望郷いわて文化大使」は一般の人も対象にするのです。達増拓也岩手県知事は「県出身者だけでなく『赴任したことがある』『宮沢賢治が好き』という人とのつながりも、県では、以前から大事にしてきました。名称に、文化を入れたことで、それぞれが文化人として、岩手をアピールしてくれています」と語っています。岩手県内では岩手県一関市が2023年、従来の観光大使から「いちのせき大使」に切り換えました。著名人だけでなく、ベトナム出身の技能実習生も対象としました。人材仲介会社を市内で営む元技能実習生は、本業を通じて実際に技術者を呼び込み、外国人が暮らしやすい環境整備にも助言しています。2023年には一関市が「外国人市民等支援本部(注2)」を設置し、一緒に行政サービスの改善を進めています。

企業誘致を目的に、台湾の経済団体代表も起用し、それにより、半導体やIT関連の2

つの企業と一関市内への進出に向けた協定締結につなぎました。

[沖縄県]

複数の大使制度を運用する自治体も目立ちます。沖縄県石垣市は2024年、「こども観光大使」を始めました。市内のホテルなどで就業体験した小学生を大使とします。主力の観光業に愛着を持ってもらい、人流流出を防ぐ狙いがあります。

「パインアップル大使」も2024年に立ち上げました。沖縄県内のフルーツ卸会社代表に依頼し、石垣市産パインの首都圏などでの販売促進で連携しています。

[まとめ」

宮崎大学の土屋有准教授は、ふるさと大使について「人気者の取り合いで、自治体間の競争も激しさを増しています」と指摘しています。「一方で、対象は一般の人にも広がり、委嘱したあとはお任せではなく、大使と連携して自治体が何をするのかが成否を分けるのです」と話しています。ここでは日本経済新聞2025年9月20日、朝刊2面記事(桜井裕介)を参照・引用しました。

[図表1]

2025年9月20日の日経新聞紙上に、「ふるさと大使導入率の伸び幅ランキング」と称する図表が記してありました。これを図表1(注3)としました。

この地図に示された地域は、4群で構成されています。次にこの4群を整理しておきます。

(1) 第1群、ふるさと大使導入率の伸び幅ランキング15ポイント以上のところ。

(2) 第2群、ふるさと大使導入率の伸び幅ランキング10〜15ポイント未満のところ。

(3) 第3群、ふるさと大使導入率の伸び幅ランキング5〜10ポイント未満のところ。

(4) 第4群、ふるさと大使導入率の伸び幅ランキング5ポイント未満のところ。

次に、この第1〜4群の内容について述べます。

[第1群]

 ここで第1群は、ふるさと大使導入率の伸び幅が15ポイント以上のところでした。この第1群に入っていたのは滋賀県の1か所だけでした。

[第2群]

第2群は、ふるさと大使導入率の伸び幅が10〜15ポイント未満のところです。この第2群には全国第2位の岩手県と第3位の山梨県が入っています。これに続いて以下が入っていました。それは宮城県、群馬県、静岡県、石川県、京都府、岡山県、島根県、長崎県、熊本県で、第2群に入っていたのは、合計11か所でした。

[第3群]

第3群は、ふるさと大使導入率の伸び幅が5〜10ポイント未満のところです。ここに入っているのは以下です。山形県、新潟県、福島県、茨城県、千葉県、長野県,岐阜県、福井県、奈良県、兵庫県、鳥取県、大分県、沖縄県、愛媛県、徳島県、高知県。第3群は合計16ヶ所でした。

[第4群]

第4群は、ポイントの伸び幅が5ポイント未満で、伸び率の幅が最小のグルーブなのですが、第4群に属するグルーブの数は19あり、グループ数としては最大なのです。すなわち、この研究報告は、まだ、軌道に乗り始めたところであり、これからがきわめて大事なのです。

ここにいるのは、以下です。北海道、青森県、秋田県、栃木県、埼玉県、東京都、神奈川県、富山県、愛知県、三重県、大阪府、和歌山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、宮崎県、鹿児島県、香川県。

この第4群こにいるメンバーを眺めてみますと、そうそうたるメンバーが並んでいます。東京・大阪など最重要な地域が、この最下位群に沈んでいる状況なのです。

日本国の未来にとって、きわめて重要な、このブロジェクトは、これからが正念場なのです。私は、大いに気を引き締めて、このプロジェクトに対応しなければならないと思いました。

[図表2]

図表2は、「導入率自体は沖縄県が高い」と題した図表でした。これは日本経済新聞の2025年9月20日の朝刊に掲載されていた図表でした。

 この図表2は、ふるさと大使導入率自体を、多い順に示した図表でした。すなわち、これは導入率のベストテンです。これは以下です。

     図表2 導入率自体は沖縄県が高い

順位   都道府県   導入率     伸び率       図表1での群別

  1    沖縄県    66.7%    9.5ポイント  第3群

  2    岩手県    55.9    14.7      第2群

  3    茨城県    53.3     6.7      第3群

  4    長崎県    50.0    13.6      第2群

  5    香川県    44.4     0.0      第4群

  6    滋賀県    40.0    15.0      第1群

  6    島根県    40.0    10.0      第2群

  8    岡山県    39.3    10.7      第2群

  9    静岡県    38.9    11.1      第2群

 10    愛媛県    38.1     9.5      第3群

 先に分析した「ふるさと大使導入率」の「伸び率」の調査では、全国第一位になったのは滋賀県でしたが、「導入率」そのものが大きいところは、「伸び率」とは全く違うのです。

導入率の第一位は、沖縄県で66.7%でした。これの第2位は、岩手県の55.9%で、沖縄県は第2位を大分引き離しています。

 先の分析の「伸び率」の分析結果を「導入率」と比較したいと考え、この「導入率」の分析結果に「伸び率」の分析結果を付記してみました。これを良くみてみると、以下のことがわかりました。

 導入率のベストテン(図表2)の中には、「ふるさと大使導入率伸び幅ランキング」(図表1)第2群が5か所入っています。第1群と第2群とを合わせた6か所が、導入率のベストテン(図表2)の半分以上を占めていました。やはり、このプロジェクトでは、図表1の第1群と第2群が牽引グループです。

そして、導入率の1位から第3位の茨城県の間には、図表1の第3群が二つありました。このうち、沖縄県は、導入率で、66.7%でダントツトップですが、これに続く茨城県は導入率53.3%とかなり立ち遅れていました。

導入率の10位の愛媛県は、「伸び率」では、9.5ポイントと沖縄県とトップを競いあっています。私は、愛媛県は、今後、導入率も急上昇させ期待がもてる地域になると想像しています。

一方、導入率5位の香川県は伸び率が0.0%です。何か事情があるのでしょうか。国や近隣自治体が、香川県の立ち上げを、今後支援して行く必要があると思います。

[図表3]

図表3(注5)は、「導入自治体は500に迫る」と題した図表でした。しかし、図表の具体的な内容は、「導入自治体数の棒グラフ」と「導入率の緩やかなカーブ曲線」の2つの図表でした。以下に、そのそれぞれについて説明します。

(1)導入自治体数の棒グラフ

これはこの左軸横欄に記した、0、100、200、300、400、500の導入自治体数と下軸横欄に記した、1984、1990、2000、2010、2020、2024年の(年)を利用して、その各年における導入自治体棒グラフを作成したものです。この棒グラフは1990年から、きわめて、僅かな量の棒グラフの作成がはじまりました。でも、これが本格的になったのは、2005年からで、2005年の10%から2024年の28%までは順調に増加しました。しかし、2024年以降も、この調子で上昇するのか、このあたりで、増加が降下し始めるのかは、今、得られているデータでは、まだ、良くわかりません。

(2)「導入率の緩やかなカーブ曲線と直線」

もう一つの導入率の方は、「導入率」ゆるやかなカーブ曲線グラフです。これは、右軸縦欄に記してある、0、5、10、15、20、25、30の「導入率(%)」と前項と同様の下軸横欄の各年を利用して、その各年における導入率を作成する「ほぼ直線に近いゆるかな上昇曲線と水平の直線の合体」のグラフでした。この導入率の線は、2005年までは、ずっと0%で、2005年から上昇を開始します。そして、2024年の28%まで、きわめて順調に増加しています。この上昇線は、殆ど直線なのですが、2018年に僅かなコブが上向きにでています。このコブが、2018年以降も現れるかどうかで、この「ふるさと大使導入プロジェクト」の実効が大分違うと思われるのです。2024年以降の様子を慎重に見極めて行かねばなりません。

この活動は、丁度、今、明確になりかけた処ですが、この後しばらくの動向が、きわめて重要と思われるのです。今後の動向を慎重に見極めて、その運営を慎重、に実施して行く必要があります。

[まとめ]

自治体が地元のゆかりの人に委嘱する「ふるさと大使制度」は、今の地域振興に、大変大きな助けになっているようです。ここで最も成果をあげている、全国第一位の滋賀県は、琵琶湖で音楽祭の開催を続けており、その経済効果は14億円と試算しています。また、三日月大蔵滋賀県知事は、「累計では100億円を超える」「間接的な効果を踏まえると、貢献は計り知れない」と、凄く絶賛しています。

また、伸び率で15.0ポイントの滋賀県に対して、導入率で第2位の岩手県は、導入率では0.8ポイントの僅差で追っており、その実施内容は、とても期待されるものなのです。それは以下です。

この岩手県は、知名人に頼らない、大使制度を進めています。岩手県では一般の人も対象にしているのです。岩手県の達増拓也知事は、以下のように述べています。「我が県では、県出身者だけでなく、『赴任したことがある』『宮沢賢治が好き』と言うような、人とのつながりを、以前から大事にしてきました。岩手県が、人の名に「文化」を付けたことで、他県の人は参加したそれぞれの人を、文化人とみなし、岩手の大使の活動として評価してくれています。

岩手県内では、岩手県一関市が、2023年、従来の「観光大使」から、「いちのせき大使」に切り換えました。そして著名人だけでなく、ベトナム出身の技能実習生らも仲間として、外国人が暮らしやすい環境作りに、熱心に努力しています。岩手県では、このような人達が、伸び率増大化のために、ユニークな活動を進めているのです。でも、これが滋賀県と同じような収益につながるかどうかは、今、公表されているデータでは、まだ、よく解らないのです。

導入率の高いところを示す図表2には、伸び率で滋賀県、岩手県の次に続く処として、伸び率が10.0ポイント以上の4県[(長崎県(13.6)、静岡県(11.1)、岡山県(10.7)、島根県(10.0)が示されています。これらの地点は、未来を見据えて考えてみれば、有望な地域だと思うのですが、これがどれほどの利益獲得が可能なのかは、まだ、良く解らないのです。

この調査分析の次報が発表されれば、さらに面白い成果予測ができるはずだと思っています。そこで、ここでは、もう少し待って、本格的な掘り下げを進めることにしました。

(注1) 同志社大学の条例Webアーカイブデータベースに関して。

このデータベースについて、「条例Web作成プロジェクト」が記した、貴重な一文があります。それをここに記しておきます。

 [参考の一言]〜本データベースについて〜

近年、日本の地方自治体の多くが「条例アーカイブデータベース」の「例記」を、Webで公開するようになりました。しかし、自治体ごとに検索を行うことを前提にした事例が殆どであるため、多くの条例が検索から、漏れてしまう状況です。また、検索ノイズも多く、地方自治体を横断して、条例等を串刺しして条例の原点を見ることは、事実上、困難と言っても過言ではないのです。

さらに、研究等においては、条例等の改定前後の条文の比較が重要ですが、古い条例については収集している処は殆どありません。

それで、本プロジェクトでは、これまでにWeb等で公開されている条例等を収集し、検索できるシステムを構築してきました。また、近年では、過去の条文についても探せるようにしています。平成15年11月のサービスの開始以来、収録自治体数を増やしてきました。平成27年度以降は、廃止や改正された例記についても、削除せず探せるようになっています。

Web公開されている例記だけでなく、自治体からデータをいただいたり、紙媒体の例記を入力した物なども、多数を占めているのです。   

(注2)外国人市民等支援本部とは、外国人市民を支援するための政府機関の窓口が集まる施設である。具体的には、この団体は、外国からの相談対応、外国人を雇用したい企業の支援、地方公共団体の支援を行っています。例えば、東京新宿区に設置された外国人在留支援センター(FRESC)では、出入国記録の情報開示や日本での就職支援を行っているのです。

(注3) 日本経済新聞2025年9月27日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されていた。ふるさと大使導入率の伸び幅ランキング。

(注4) 日本経済新聞2025年9月27日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されていた。導入率自体は沖縄県が高い。

(注5)日本経済新聞2025年9月27日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されていた。導入自治体は500に迫る。

(1)日本経済新聞、2025年9月20日、朝刊(2面)。[付記]2025年11月17日。

塾頭から椎野先生への返信 本郷浩二

地域外の人を惹き付ける効用

ふるさと大使は、地域外の人をふるさとに惹きつける役割を果たしています。

地域の創生は、地域の人材、地域の資源、地域の資金や需要といったローカルな社会経済だけでは成就し得ないところまで来ている社会課題です。外からの人材、外からの資金や需要がなくてはならないものと考えます。外からの人材、外からの資金や需要を地域にもたらす役割を果たしてくれることが、ふるさと大使の重要な役割として期待されているのではないかと思います。ふるさと大使といった取組が拡大しているのは、メディアによる無機質なPR、広告・宣伝ではもはや人を惹きつけられないということではないのでしょうか。

地域に関心を寄せる人は、自分の満足を叶えられる「何か」を求めているのでしょう。それは、いわゆる「コト消費」と言われるように自分が楽しめる体験や経験を求めたり、「イミ消費」と言われるように自分が共感できるストーリーや社会的な意義を求めているということなのだと思います。

知名度のある人、人気のある芸能人やキャラクターを大使にすることは、その信頼や人気にあやかって、外の人の関心を地域に惹きつける、地域を訪れてもらうことに即つながりますから、地域間の競争は激しくなっているようです。本来ならば、高額なギャラの必要な人やキャラクターを無償や割安な報酬?で協力をお願いできるのですから、その取り合いが起こるのも当然です。テレビなどが見られない時代になって、自治体では、SNSのインフルエンサーと呼ばれる人にもどんどん協力してもらおうという動きになっていると聞きます。

しかし、そのような人気者だけでなく、文化や産業をピンポイントで特定のコミュニティに伝えることのできる一般人を対象にしているのは、その役割を一過性に終わらせずに、長続きするファンを獲得しようという試みのように思います。

その向かう先は、外の中でもやはり都会・都市部です。人口が多く、人材、資金や多様な需要を豊富に有する都市部の住民や企業が主たるターゲットになるものと思います。私の知人も全くメディア的な知名度はなく、東京からほとんど出たことがないにも関わらず、ある県の伝道師的な役割を果たす者(大使という名前ではありませんが…)に任命されています。まさに地域のファンを作るピンポイント伝道師として位置づけられるのかもしれません。

岡山県の西粟倉村は、森林地域振興の取組のトップランナーとして読者の皆様もご存じでしょう。これまでの様々な取り組みの元は、村のファンを都市部に作ることだったように私は思っています。「百年の森林構想」というグランドデザインが2008年に発表されており、村内のセクターの役割分担というか仕組みに目を奪われてしまいますが、それに必要な資金を投資してくれる人、生産物を消費してくれる人を村外に求め、顔の見える関係を構築することが重要不可欠だったと思います。また、起業する人材を外からの移住者に開放して受け入れて、協働してきたところが注目を浴びています。このように、特に大使のような試みがなくてもファンを作ることはできるのですが、しっかり走っていけているところは稀だろうと言わざるを得ません。自前の努力が続けられる、実を結べるところはなかなか多くはありません。

滋賀県のように、大使が継続的に活動してくださることによる経済効果はやはり大きいものがあるということでしょう。たいへん恐縮な言い方になりますが、自前の努力以上に大使の努力が大きな効果を生み出す可能性が高いのかもしれません。ただし、経済効果と言われるものが地域の創造、ファンの獲得に貢献していくのかということについては、自治体はきちんとその道筋を考えて施策を講じていく必要があると思います。

こうして考えると、この話は、地域の創造を目指す自治体が都市部にファンを作る競争をしているということかもしれません。都市部だけではなく、昨今は「コト消費」を求めるインバウンドや「モノ消費」や「イミ消費」を求める海外消費者にファンを作ることも競っているのでしょう。そこには、大使による海外への展開も必要になってくるものと考えます。

木材の需要も森林サービス産業の需要も、さらに言えば、二酸化炭素ビジネスの需要も都会・都市部にあるのですから、その地域の森林のファンを作ることが重要であると思います。西粟倉村でも、西粟倉で作られた木材製品を買ってくれる、使ってくれるファンを作り続けています。

大使という手法を使う、使わないは別にして、森林・林業の分野で都市部にファンを作れている実例に倣い、地域として森林を活かした新たなファンづくりや木材や森林サービス産業のマーケッティングによって、都市部から人材や資金・需要を獲得していく取組を展開していかなければならないと思います。これは森林・林業セクターだけでは困難な取組かもしれませんから、やはり地域の他産業セクターや行政とつながって幅広く取り組んでいくのが良いのではないかと思います。

秩父でも大隅でも球磨でも隠岐でも北信州でも北都留でも、そして佐伯でも、そのような取組が必要とされているのかもしれません。皆さんのご検討とご健闘を期待しています。

                                   以 上