ついに迎えた森林セルフケアフォーラムin東京2015。
午前の部、森林セルフケア体験会「コースD」「テーマ:森の中で今の自分と向き合ってみましょう」は、4名の参加者と実施者、サポートスタッフの合計6名で行われました。
会場は、下見で訪れた約2週間前より、落葉樹の黄葉も進み、秋の深まりが感じられた代々木公園。
北海道・石川県から遠路遥々お越しくださった参加者もいらっしゃいましたが、体験会にふさわしい秋晴れに恵まれ、つつがなく盛会にて終了しました。
参宮橋門から少し奥に進んだ木々に囲まれた空間で輪になり、自己紹介からスタート。
引き続き、各自「今の自分の気持ち・状態」を確認した後、瞳を閉じ、ゆっくり深い呼吸を繰り返しながら、実施者、稲場祐子さん(薬剤師/心理カウンセラー/臨床心理士/森林インストラクター) の言葉による誘導の元、自分の体の内部に意識を注いでいきます。
徐々に深い呼吸から、いつもの呼吸へ戻り、瞳を開けると、はじめての顔ぶれ、スタートしたばかりで、少し緊張・高揚気味だった気持ちが鎮静し、鳥のさえずりが鮮明に聴こえたのが印象的でした。
その後、木々と触れ合いながら、ゆっくりと森の奥へ、奥へと進みました。
模様の違いを教えてもらい、「これは、ヒノキ?サワラ?」と皆で葉裏を覗いて木の種類を確認したり、ヒマラヤスギのてっぺん付近に恐竜の卵のような巨大な実を発見したり、サルスベリの木肌を触ってみたり、山茶花と思われるジャスミンに似た花の香りを嗅いでみたり・・・。
自然観察を楽しむうちに、五感の中の味覚以外の感覚がどんどん研ぎ澄まされていくのを感じました。
針葉樹の入り混じる森を抜けると、甘い香りを一面に放つカツラの木々が生い茂る森が出迎えてくれました。
カツラの木は黄葉・落葉の季節を迎え、落ち葉の上を歩く足の裏の感覚も心地よく、秋風が吹く度、ハート型の黄色い葉っぱが、はらはらと舞い落ち、その光景の美しさに、思わず「きれい!」と声をもらす方もいらっしゃいました。
参加者全員が、この時点で、すっかり代々木公園の森と親和しているようでした。
カツラの森では、「自分がなりたいものになってみる」という個人ワークが行われました。
各自、自分の心魅かれる場所を見つけ、その場所で「木」など、自分がなりたいものになってみる。
そして、思い思いの場所に散らばった人の所へ稲場さんが個別に出向き、なりたいものになっている人に質問を投げかける。その質問に対し、ふと心に湧いた自分の答えを言葉に発していくといったワークでした。
「この木になってみて、どう感じる?」との質問に対し「このままでいい。安定している。」「真っ直ぐでなくていい。曲がってても、いいんだよ。」「波風立てなくていいよ。」「たくさんの人を守ってあげたい。」など、各自の顕在・潜在意識と思われる声が森のあちこちから聴こえてきました。
ワークの後は、場所を変え、丸太に腰かけ、森の中で一服タイム。
コップに注がれた温かい飲み物を試飲し、何の飲み物かを皆で推測しました。
しかし、正答が出ないため、飲み物を作ってきてくれた稲場さんから「どんぐりコーヒー」であることが告げられます。皆一斉に驚くも、2週間前の下見のときに、この代々木公園で拾ったどんぐりであると聞き、さらに驚いた参加者一同、残された五感の1つ、秋の森の「味覚」も味わい、楽しむことができました。
この後、「どんぐりコーヒー」の原料を拾ったシイの木の茂る森へと移動し、「どんぐり」の形を比べたり、拾ったりした後、各自、一人の時間を過ごしました。
体験会終了時刻5分前、一同集合し、一人の時間から、最後のまとめの時間となりました。
代々木公園の森の良さを発見した人、ニュートラルな自分になった感じがした人、お腹がすいてきた人等々、体験会前後での心身の状態の違いや感想をシェアし、定刻にて体験会Dコースは終了しました。
参加者の方全員が、自分自身の森林セルフケアができたことに加え、各自の気付きを得て、お帰り頂いたように感じられました。
*記事:森林セルフケアサポーター 田中恵美(めぐみ)