□ 椎野潤ブログ(塩地研究会) 『森林列島再生論』 著作監修:塩地博文 著作 文月恵理、高口洋人、松本晃、酒井秀夫、寺岡行雄 出版:日経BP
文責:塩地博文
『森林列島再生論』 〜 森と建築をつなぐイノベーション「森林連結経営」
著作 塩地博文 ウッドステーション 代表取締役会長
文月恵理 森林連結経営 副社長
高口洋人 早稲田大学 理工学術院 建築学科・建築学専攻 教授
松本晃 日本政策投資銀行 経営企画部所属参事役
酒井秀夫 東京大学 名誉教授、日本木質バイオマスエネルギー協会 会長
寺岡行雄 鹿児島大学 農学系 教授
出版 日経BP
日本は森林面積が国土の3分の2に及ぶ森林大国。だが、これまで木材を輸入に頼ってきたため、国内林業は衰退し、木材産業や建築業、不動産業とつなぐサプライチェーン(供給網)も分断されてしまった。そうしたなか、国際的な木材の供給不安が発生、木材価格が暴騰する「ウッドショック」と呼ばれる事態を引き起こしている。直近ではウクライナ危機を受け、さらに先が見通せなくなっている。森林大国の日本にとって、豊富な資源を生かさない手はない。本書は、森林という資源の現状とその未来を問うものである。「森林列島」を再生するために、林業や林産業ではなく森林産業を構想し、国土を有効活用する事業案を起草する。
2022年9月初旬に、『森林列島再生論』を出版します。ウッドショックは、国産材の活用の本格化を告げる号砲です。その具体化の道筋を、各界の有識者たちと解きほぐしていく『森林列島再生論』を出版するに至りました。発行は日経BPです。以下、ページ構成です。
ページ構成
第1章
森林列島再生論序説
第2章
森林と建築をつなぐ
第3章
木材と建築生産、情報システムをつなぐ
第4章
森林と金融をつなぐ
第5章
森林とエネルギーをつなぐ
第6章
森林とサプライチェーンをつなぐ
第7章
森林列島を巡る旅を終えて
国産材活用の一助となりたいと筆者一同願っております。
☆まとめ 「塾頭の一言」 本郷浩二
戦中から戦後に起こった資源の収奪に対し、日本の人工林の林業は、伐採跡の再造林や、天然林を伐採した後に植林を行う拡大造林により、資源の回復に努めてきました。しかし、高度経済成長のある時期から、利用できる太さの木が乏しいという資源の制約と木材需要の拡大のギャップの中で国際競争力を失い、採算が取れなくなったため、木を切らなくなりました。戦後に造林した資源が大きくなるまでの植えて、育てる期間の長かったこと。その間、旺盛な木材の需要を満たすための供給は輸入木材に依存してきたのです。円高経済に下支えされ、外国からの木材は丸太から製材品に主力が移り、港に積まれた在庫などを背景に、いつでもジャストインタイムで供給される流通構造が発達してきました。
このような、我が国の供給>需要の木材の供給過剰の状況がなかなか崩せない時代に、国内の山の木材を伐って使うという困難な命題を抱えた素材生産・地場製材という分野は、時の流れ、産業経済、科学技術の発展に置いてけ堀で周回?遅れになっています。この遅れを早く取り戻して、これからの居場所を作っていくためには、林業の世界以外の今を生き、改善改革しながら前に進んでいる異分野と「つながる」ことが絶対不可欠と考えます。どことつながることがどんな成果を生み出すのか、期待でわくわくします。