「美しい森林づくり全国推進会議」と政府との意見交換会
設立発起人・構成員団体 紹介
設立発起人(134名)構成員団体(47団体)
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安倍内閣総理大臣挨拶
出井代表を中心に環境団体や教育界等様々な皆様がお集まりいただき、このような会議が発足したことを本当にうれしく思っています。
2月9日の閣議において、故松岡大臣から国土の3分の2を占めている森林を守っていくために、国民運動を展開していこうという発言があり、その発言を受け私がそれを具体化するよう指示をしたところであります。
私は、美しい国づくりを推進しているが、美しい国とはどういう国かというと、やはり海外から見て日本が美しいと思われる時とは、美しい山や森を見たときではないかと思っています。
日本は、古から自然と戦うというよりも、自然と共生していく、鎮守の森を大切にする、そういう日本人の感性があるわけです。
今後、我々も大切な森を守っていかなければいけないという大きな責任があるのではないかと思っています。
実は、私も、先祖代々、遺産相続で3人で120町歩の山を共有しております。スギを植林していますが、実は花粉症です。自分の山に入ることはできませんが、それを守っていく上において森林組合の方々もだいぶ高齢化しており、守っていくのは大変だと実感しているところです。
しかし、森は水をかん養し、そして美しい動物を守り、美しい景観を与えています。何とかこの自然を守っていかなければならないと思っています。
先週、青木ヶ原大樹海(富士山麓)にNPOの方に連れて行っていただきましたが、鬱蒼とした森で、そこは妖精がいるようなところでした。
NPOの方々から、案内してくれた子どもたちが皆穏やかな気持ちになったという話も伺い、日本人にとって森林は本当に大切なものなのだなと改めて感じました。
地球温暖化ガスも吸収してくれる
森林を守ることは必要であります。
政府としても美しい森林を保っていくために、
これからも全力を尽くしたいと思っています。
伊吹文部科学大臣挨拶
全国推進会議が発足しまして、これから力を合わせて美しい国と美しい森林を後世に伝えていきたいと思います。
60年ぶりに改正になりました教育基本法にも、自然を大切にし、環境を保全することが教育の目的に書かれています。構成団体の表を見ますと、ガールスカウト、ボーイスカウト、スポーツ団体など、私が所管している各団体も参加しておられるので大変うれしく思っております。
今日、私がしているネクタイは、私の地元の北山スギをデザインしたネクタイです。また、グリーンのポケットチーフもして参りました。
北山スギは、川端康成先生の「古都」の舞台になった日本の代表的な加工材です。是非皆さんと力を合わせていい日本を次の世代につなげたいと思いますのでよろろしくお願いします。
甘利経済産業大臣挨拶
日本は科学技術先進国として世界に知られていますけれども、日本の自然景観も世界に誇る大事な大切な財産です。
でも、その大切な財産が、少し手抜きをされてしまっていることも否めない事実だと思います。
今日お集まりの皆さんの会員名簿を拝見しますと、日本中の代表の皆さんが集まっていらっしゃるし、前の席には、これからの日本を担っていく若者世代が集まっています。
みんなで力を合わせて、日本の自然のすばらしさをもう一度しっかり守って後世に伝えていかなければならないと思っています。
経済産業省も森を大切にし、間伐材等を原料としたバイオマスエネルギーとして利用していこうという取組も進めております。
日本の冠たる科学技術が日本の大切な財産の自然景観を守っていく、そっちもしっかりつなげていきたいと思います。
若林環境大臣挨拶
国土の3分の2を占める森林というのは、木材を育てるだけでなく、多様な生物保全の役割とか地球温暖化の防止など、環境保全上の重要な役割を果たしています。
また、季節によって変化する美しい風景、豊かな文化の源泉でもあるわけであります。
本日、多くの参加の方々によって、美しい森林づくり全国推進会議が立ち上がり、多様な生物の保全や、また、青少年の環境教育など、豊かな森を将来に引き継いでいくための行動を開始することは、大変有意義なことでありうれしいことであります。
環境省としましても、美しい森林づくりを推進することにより、美しい国づくりが実現できますよう積極的に取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
村山気象予報士
ここ十数年、私は花粉症対策と地球温暖化対策の両方に取り組んで参りました。
今回の美しい森林づくり運動がいかに成功するか、それは、多くの人に森の大切さをわかってもらうということなんですが、その分かりやすい例として、例えば気象庁では、日本の上空の二酸化炭素の濃度を観測していますが、それをみると、6月から7、8、9月と、二酸化炭素濃度が大幅に減少するんですね。これは、小学生の皆さんでも知っている、植物の光合成、水と太陽の光と二酸化炭素で植物が糖分をつくる、この活動によって、二酸化炭素が減少していく。これくらい森というのは重要な役割をしている。
では、日本にある木の中で、どんな木が一番二酸化炭素を吸収しているのかというと、これは実はスギの木です。これは、美しい森林づくりというとどうしても新緑とか紅葉とか広葉樹のイメージがありますが、実は温暖化対策を考えると、スギやヒノキというのが非常に大きな効果を持っているわけです。森林の効果というのは、生産だけでなく、資源という面もあるので、その二つを両立させるような運動を何とかしていかなければならないと思っています。
今、花粉症対策でスギは非常に悪者になっているわけですが、資源としての役割、なぜそこまでスギが増えてしまったのかといえば、やはり私たちが、国産材を十分に活用していないからであると思うわけです。
美しい森林づくり活動というのは、単に植林すればいいのでなく、育もりてた木を伐採してそれを私たちが十分に使って緑としてのサイクルを浸透するような形でこの森づくりの運動が展開しないと結局地球温暖化になってしまうのではないかと思います。
森林づくり運動というのは、単に木をもり増やすということではなく、資源としての森を私たちが十分に活用する、林業の再生という面も合わせて、広く多くの人に、訴えていってほしいというふうに考えているわけです。
(社)ガールスカウト日本連盟高田紋花さん、陸川未来さん
日本のガールスカウトは、小学校に入る1年前から会員になれます。高校生になるまで、5つの部門で活動します。
団ごとの集会、キャンプやハイキングなどの野外活動、町のお掃除や募金、老人ホーム訪問などの奉仕活動など、色々な活動をします。今、世界の仲間と一緒に難民の子どもたちの文房具などを贈る「ピースバック活動」にも参加しています。 昨年からチーム・マイナス6%のメンバーになって、水や電気の節約など私たちでもできることを毎日やろうと頑張っています。
私たちは、山の緑を大切にするために、毎年「緑の募金活動」に参加して、駅前や街角で募金を集める呼びかけをしています。東京のガールスカウトは、八王子市など4箇所に「スカウトの森」を持っています。時々、下草刈りなどの作業をして、森が元気に育つよう手入れをしながら、大切な森の役割を学びます。
私たちガールスカウトは、美しい国日本、そして美しい地球を私たち自身と未来の人々のために創り上げていくことを目指して、これからも私たちにできることを考えて、みんなで実行していこうと思います。
一人でも多くの子どもたちが、私たちのように、色々な体験をして学ぶことができるように、総理大臣に応援していただきたいと思います。
発起人代表竹下景子さん
今日、こちらに大きなパネルを用意していただきました。私もこちらにきて初めて見たのですが、一番左手、約80年前の長久手(ながくて)と書いてあります。
一昨年、行われました愛・地球博の会場があった長久手です。 約80年前には、こんなに荒れ果てていたのかと思うと私もここに来てびっくりしました。とても想像ができないくらい、今は美しい里山になっています。これは、たくさんの先人の努力が今の里山をつくっているんだと思いました。
この愛・地球博を通じて、私は日本館の総館長という仕事をさせていただきました。環境について、自然の美しさ・大切さについて大変たくさんの勉強をさせていただいております。
それから、また、昨年の夏は、北海道の富良野に参りまして、北海道の富良野は、テレビドラマの『北の国から』で二十数年間私が通っていたところです。そのご縁もあり、倉本聰さんが、今、『富良野自然塾』という形で森づくりの活動を行っており、そのお手伝いを私もしておりまして、息子たちと一緒に植林をしました。
ゴルフ場として開発されたフィールドを、できるだけ自然な富良野の森に戻そうという50年先を見据えた活動をしております。
そして、もう一つは子どもたちのための環境教育のプログラムがあります。そちらにも私はインストラクターとして、子どもたちと一緒にキャンプをしながら、地球の話、森の大切さなどをお話ししてきました。
最初に会ったときに比べると、3日ほどで子どもたちは瞬く間に『野生化』をしました。裸足が好きになって、目がきらきらと輝いてきました。そういう機会ができるだけ増えるといいなあと私自身も思いましたし、森の大切さを改めて感じました。
その富良野のフィールドの片隅に石碑が建っています。その石碑には、「地球は子孫からの預かりもの」と刻まれています。アメリカ先住民の言葉だそうですが、私たちの先人たちもかつてはきっと同じ思いがあったと私は思います。
美しい森をできるだけよい形で、これから私たちも全国推進会議のみなさんと力を合わせて、次の世代の子どもたちに是非引き渡していきたいと思います。そのために活動をしていきたいと思います。
赤城農林水産大臣挨拶
本日、農林水産大臣を拝命した赤城徳彦です。まさに今日この場が、初出場であります。 この美しい森林づくり全国推進会議は安倍総理と前任者の松岡大臣の思いが結実したものであり、ソニーの最高顧問の出井さんに代表をしていただいたところです。
ガールスカウトの皆さん、経団連、竹下景子さん等これだけの皆さんにご参集いただき、このような会議が結実したことは、大変嬉しく思っております。
気象予報士の村山さんからお話がありましたが、実は、私も花粉症であり、スギを見て時々恨めしく思いますが、スギの大切さも気象予報士の立場から伺って本当によかったと思っております。
宇宙を眺め渡して、地球を見るとほとんど海で青く見えますが、空気があって海があってそして森があって初めてこの青い地球が成り立っております。山に住む人だけでなく、地球に住む全住民の課題であります。そういう課題として各界の皆さんがご参加していただいていることは大変すばらしいことであります。
私も新米ですが、皆さんとともに頑張っていきたいので、今後ともよろしくお願いします。
(社)日本経済団体連合会猪野博行地球環境部会長
私は毎日通勤しておりますけれども、この季節になりますと、鮮やかな緑が目に飛び込んで参ります。日常の中でも、私たちが木の恵みの中で暮らしているんだということを実感致しております。
全国各地にある企業の工場も、まさにその地域の森や水源の恩恵を受けながらその事業を展開しているところでございます。企業としましても、地域の一員として、自然環境を守るという意味で森づくりに地道に取り組んで参りました。最近では、植林活動や苗木の提供、間伐材を利用した紙製品の使用、さらに、企業の森を活用した子供たちへの環境学習の場所の提供などを行っています。また、これらの活動を通じて、近年では、企業の社員がボランティアの方々や子供たち、地域の人たちとふれあう機会がますます増えてきています。
今回、全国推進会議が設立されましたが、この会議が今後、森林づくりに参加される様々な団体、例えば、ボランティアや自治体、個人や企業をうまく結びつけるようなネットワークの役割を果たしてくれるのでないかと期待しています。もちろん、企業にとりましても、自分たちの森林づくりの活動のレベルアップを図ることが重要と思っております。
このような活動を通して、豊かで美しい森林を国民一人ひとりが守り、もり次の世代に引き継いでいきたいと思っております。企業としても努力していきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い致します。