林業再生・山村振興への一言(再開)
2020年12月(№56)
□椎野潤(続)ブログ(267)なぜ、一般社団法人 ぎふフォレスター協会を設立したのか(その9) フォレスターズLLCが、市町村林務に対して、どんな支援ができるのか 2020年12月1日
☆前書き
このブログは、前回の続きです。このブログでは、フォレスターズLLCが、市町村の林務に対して、どんな支援が出来るのかを、わかりやすく解説しています。小森胤樹さんに解説書を書いてもらいました。これを私が、一連のブログとして、読みやすいようにと配慮して、言葉の流れを直す加筆をしています。これを元にしてブログを書きます。
☆本文
民間フォレスターを必要としているのは、林務担当者が1名以下の市町村ではないかと考えています。その数は、全国の市町村の65%弱になります。さらに0人は40%です。0人とはどういう意味かというと「林務を担当している」。つまり、林務以外の仕事もしているということです。
民間フォレスターの市町村への支援は、市町村林務行政・森林経営管理法の実行、森林環境譲与税の利用方法など多岐にわたります。上記のような市町村においては、まず置かれている状況を把握し、分析することから始める必要があると思われます。これを林務担当者と伴走して、一緒に考えてやっていくのです。
ここでどのような支援を考えているかというと、ミクロ的視点とマクロ的視点のものがあるのです。この内、ミクロ的視点で言えば、林務行政としてやらなければならない必須事業をサポートすることです。つまり市町村森林整備計画を支援して、独自の分析をして作っていくのです。皆伐の届けが出た場合も、天然更新をただ受理し保持しているだけでなく、支援して、市町村独自の森林整備計画を作るのです。
マクロ的で言えば、地域の林業関係者とステークホルダー間の連携を支援して、うまく進めていくのです。そこに市民の目線、意見を反映させます。木の駅プロジェクトが行われいる地域なら、それが市町村の掲げる総合戦略の中に、どのように位置付ければ良いか、支援して考えます。林業施業の脱炭素やSDGsの視点での位置付けを、どうすれば良いのかの検討も支援します。地域のエネルギー戦略の中における林業の位置付けについても、一緒に考えます。
林業は、これまで、他産業との連携を、あまり考えてきませんでした。ですから、地域の森林監理を林業という木材産業の中だけで考えていることが多いのです。周囲の異業種との関連も考えて、手伝ってうまく回していきます。このような諸点において、市町村にアドバイスしていけるのが民間フォレスターの存在価値なのです。
われわれは、市町村に対するバックアップだけではなく、地域に張り付くフォレスターの育成も考えています。フォレスターズLLCから派遣されるフォレスター自身は、その地域の住民ではありません。地域に張り付いて、森林監理をすることが出来る人材と一緒に、市町村のバックアップをすることで、人材育成をOJT(注2)という形で行います。数年後、フォレスターズLLCから派遣したフォレスターが、その必要性が無くなったときは、その任を育成した地域の人材に移行します。
その時には、その自治体は、一緒にやってきた林務担当者が移動になったとしても、継続的に市町村の森林監理が続けられるようになるはずです。
それらの財源としては、地域林政アドバイザー制度を活用してほしいと思います。市町村が、LLC派遣の民間フォレスターを、雇用で雇うのではなく、業務委託として、われわれに依頼してほしいと考えています。(参考資料1、この一文は、小森胤樹の原著、ブログとしての読みやすさに配慮して椎野潤が加筆)
☆まとめ
このブログでは、フォレスターズLLCが、市町村の林務に対して、どんな支援ができるかを、述べていただきました。来るべき新年、2021年からは、この支援が、具体的に始まります。このブログでは、その具体的な活動成果を、ひとつずつ取り上げて報告します。(まとめは、椎野潤が記述)
(注1)フォレスターズLCC:フォレスター達が集合して形成する合同会社。
(注2)OJT(On-the-Job Training、オン・ザ・ジョブ・トレーニング): 職場で実務をさせることで行う従業員の職業教育のこと。
参考資料
(1)小森胤樹著、椎野潤補作:フォスターズLLC、森林総合管理士という資格と市町村支援事業、2020年11月24日。
(2)椎野潤(続)ブログ(265)なぜ、一般社団法人 ぎふフォレスター協会を設立したのか(その7)、これまでの総括と次への展開、2020年11月24日。
(3)椎野潤(続)ブログ(266)なぜ、一般社団法人 ぎふフォレスター協会を設立したのか(その8)、市町村支援事業(その1)フォレスターLLCを作る 2020年11月27日。
[付記]2020年12月1日