私は最近(2020年12月29日、2021年1月12日)のブログ(参考資料2、3)に、「『林業再生と山村振興』の大改革には、どうしても、強力なスタートアップが必要です。有望な方または目指している方を、ご存知の方は、是非、ご紹介ください」と要望を書きました。
ここで、構築しようとしているサプライラェーン・マネジメント(注1)は、林業を最上流にし、木材加工を経て、木造住宅作りに至る、長大な流れをなしています。産業でみても、林業を最上流とし、工場生産の製造業を経て、住宅作りの建設業に至っています。
これを総合する改革は、極めて難しいのです。これを具体化していくには、産業間のビジネスモデルを創出するスタートアップが必須なのです。でも、このスタートアップは、現実には、具体的な困難に直面していました。この多産業間をつなぐ、あるいは、総合したビジネスモデル形成するための、スマホアプリ(注2)を作り出さねばならないのです。
でも、この困難を解決する新技術が,開発されました。それは「ノーコード(注5)」です。コンピューのプログラムを、殆ど書かなくても、スマホアプリ(注2)が作れるようになったのです。今日は、これを取り上げて書きます。
林業再生・山村振興への一言(再開)
2021年1月(№70)
□ 椎野潤(続)ブログ(281) 誰でもアプリ 開発ひろがる ノーコード専業ヤプリ上場 ビームスなど450社が採用 2021年1月19日
☆前書き
凄い技術が現れました。スマホアプリ(注2)が殆どプログラムを書かなくても出来るようになったのです。2020年12月26日の日本経済新聞が、これを書いていました。今日は、これを取り上げてブロクを書きます。
☆引用
「プログラミング言語の知識がなくても、サイト(注3)やアプリ(注2)を構築できる米国発の技術トレンド(注4)「ノーコード(注5)」の波が日本にも押し寄せてきた。専門ソフトウエアを手掛けるヤプリが、2021年12月に、上場したほか、小売業などで導入が広がる。
エンジニア不足の緩和にもつながる可能性があり、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX、注6)を加速させそうだ(2020年12月26日、日本経済新聞から引用)。」
☆解説
ヤプリは、マウスの操作や、文字の入力、画像のアップデート(データ転送、注7)などで、スマホアプリ(注2)を作成し運用できるソフトを開発しました。ここでは、同社が用意する機能の中から、必要な要素を組み合わせるだけで済みます。作業量は、著しく抑えられ、開発にかかる期間は、最短で1カ月です。価格は、数百万円です。
プログラムを、一から作り上げる一般の開発に比べ、コストも開発期間も10分の1です。
これは大手企業も使い始めています。複数メーカーの商品を扱う小売店であるビームス(東京・渋谷)は、2020年10月のアプリ(注2)の刷新で、ヤプリを利用しました。好みのアパレルを探している消費者が、商品のバーコードを店頭で読み取り、アパレルを試着たときのイメージ画像や、ネット通販サイトを閲覧する機能は、ヤプリの仕組みで搭載したのです。
ビームスのアプリは従来、自社内の要望を配慮して、一から開発していました。でも、フマホのOS(注8)の更新への対応など、開発後の負担も大きかったのです。ヤプリを利用して、この負担は、大幅に軽減しました。
ヤプリの顧客は、小売、メディア、教育関連など、既に450社に達しています。上場で調達した20億円を使い、事業を拡張し、3〜5年後までに、1000社に拡大する計画です。
米国では、ノーコード(注5)のソフトは、広く普及しています。米オートマティックが提供する、ブロクやサイト(注3)を簡単に作成できる「ワードプレス」は、特に良く使われています。また、ネット通販サイトの移設を支援するBASEのサービスも、広く世界で利用されています。最近、このBASEと組んで、急成長している企業があります。スマホアプリ(注2)の作成ソフトを手掛けるアッピファイテクノロジーズ(東京・港)です。
同社は、僅かな設定で、インターネットでつながれた分散コンピューテイングをスマホアプリに変換できるサービスを、開設しました。2020年6月に、BASEと協力してBASEでネット店舗を運営する利用者に対し、簡単に独自アプリを作成できる仕組みを整えました。今、その利用者が急拡大しています。(参考資料1を参照して記述)
☆まとめ
私は、最近のブログで、林業再生と山村振興を、進めることに強い関心を持つ、スタートアップを求め、紹介してくださいと書いてきました。現在の日本で必須の改革である「林業再生・山村振興」において、若いスタートアップの力が、どうしても必要だからです。その新しい産業を興すスタートアップが、実施しなければならない仕事は、実に多彩な多方面へのスマホアプリ(注2)の作成でした。
今日のブロクで紹介した「ノーコード(注5)」の技術の出現で、この改革のハードルは、著しく緩和されました。
しかし、スタートアップに、本当に求められているのは、その便利なフマホアプリを使って、具体的なビジネスを、進化・発展させることです。すなわち、事業センスと情熱が欠かせません。すなわち、私が求めているのは、林業を発展させ、山村を豊かにする、強い情熱と信念をもった人なのです。でも、その人達に対して、「ノーコード(注5)」は、大きな力を与えてくれました。コンピュータプログラムを書く技術の習得と経験の獲得の高い壁から開放されたのです。これで一層、実務的な改革に没頭できます。2021年は、この追い風を背に受けて、いよいよ希望の年となりました。
(注1)サプライチェーン・マネジメント:部材の製造から、製品の消費者への供給、その使用、さらに廃棄・回収・再利用までの全サイクルの物の流れ、商いの流れ、情報の流れを合理化して、顧客に提供する価値の増大を図り続ける総合的な活動。
(注2)スマホアプリ:スマホに搭載されたアプリケーテョンソフトウエア。アプリケーテョンソフトウエア:(application software、):ワープロや表計算などといった、コンピュータの「使用目的」に応じた、コンピュータ・プログラムである。
(注3)サイト:IT分野では、データやコンピュータがまとまって置かれている、ネットワーク上あるいは物理的な場所のことを指す。
(注4)技術トレンド:トレンド(trend)は、時代の趨勢、潮流、流行のこと。ファッション、マーケティング、経済動向分析などの分野でよく使用される。技術トレンド:技術の趨勢または潮流。
(注5)ノーコード:プログラム技術を使った記述で、プログラムを書く必要がなく、ホームページやアプリケーションを作れる記述を指す。用意されたひな型から欲しい機能やデザインを選んだり、文章を入力したりと、直感的な操作で作り上げられる。(参考資料1から引用)
(注6)デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation; DX):「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的であるが、おおむね「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」 という意味で用いられる。
(注7)アップロード:ネットワークに接続された手元のコンピューター内のデータを、サーバーに転送すること。
(注8)スマホOS:スマホに搭載されたオペレーションシステム。オペレーションシステム(Operating System):ソフトウェアの種類の一つで、機器の基本的な管理や制御のための機能や、多くのソフトウェアが共通して利用する基本的な機能などを実装した、システム全体を管理するソフトウェア。
参考資料
(1)日本経済新聞、2020年12月26日。
(2)ブログ(275) 塩地博文の大型パネル事業(3) 「大型パネル事業とは何か(その4)」施工図自動作成システム開発 2020年12月29日。
(3)ブログ(279) 塩地博文の大型パネル事業(4)「大型パネル事業とは何か(その5)」大型パネルにより国産材は海外材に勝てる 2021年1月12日。
[付記]2021年1月19日。