□ 椎野潤ブログ(大隅研究会) 人口減少と食料安保
日本全体として、人口減少と高齢化は今後も進行していく状況ですが、都市部に暮らす方々には、差し迫ってピンとこない話ではないでしょうか。地方の特に県庁所在地から離れた、地政学的遠地や、交通インフラの希薄な地域は年々その傾向を肌で感じております。例えば私の住む南大隅町は、大隅半島の最南端部あり人口、高齢化が着実に進行しております。
2000年人口10741人 高齢化率36.7%
2010年人口 8815人 高齢化率43.3%
2020年人口 6955人 高齢化率48.1% となっており直近では高齢化率が50%になりました。このような町の過疎集落は、自治会戸数5世帯ほどで、皆さん70歳以上で、それぞれが声かけあって生活されております。田畑は、サル、猪など鳥獣害に会うため極力小さな圃場にして、ネットや網で畑を囲いその中に人が入って農作業しております。さながら人が檻に入っているようです。
そのような地域にあって唯一若者たちの参入している事業が畜産です。地場産業の一次産業でも群を抜いており、過疎地に子供の声がするようになってきました。この畜産業が今危機に瀕しております。まさしく林業界と同じ推移をたどっております。農業従事者数は減ってきておりますが、生産額は上がってきており合理化した多頭農家に代わりつつあります。そのため畜産飼料を安く安定した海外穀物に依存していたため、コストの大半である飼料代が高騰等、厳しい状況になってきております。国産牛の飼料自給率は、11%ほどです。
製材業が、安価に安定供給される外材をベースに量産型工場にシフトし、最近国産材へ転化している様相に類似性を感じております。
国は、食糧安保を提唱し、早期に改善を迫られております。まさに今、森林環境も木材の自給率向上とそれをバネに再造林へと進展する森林環境安保を提唱すべきではないでしょうか。
☆まとめ 「塾頭の一言」
21世紀のキーワードは健康だと思います。すべてはいかに健康に暮らすかにつながっていくと思います。SDGsの基本も世界の健康にあると思います。狭い土地で農業、畜産業をしようとすると、どうしても飼料は輸入に頼らざるを得なかったかもしれません。しかし、これから飼料にも責任をもって、牛も健康に育てているということになれば、それだけで消費者は安心します。大隅の環境をいかした素晴らしい取り組みです。経営が成り立つように社会が支援する仕組みをつくれば、若い人ももっと定住していくと思います。
酒井秀夫