☆巻頭の一言
今日のブログは、ポストコロナの「新しい動き」の第2弾です。ロボット君(注1)の新しい動きについても書き始めます。(椎野潤記)
林業再生・山村振興への一言(再開) 2022年7月(№226)
□ 椎野潤(新)ブログ(437) ポストコロナの「新しい動き」(その2)
同居のロボットは家族の一員 ロボットに頼られる家族には潤いが 2022年7月19日
☆前書き
今日のブログは、「ポストコロナの「新しい動き」(その2) 「同居のロボットは家族の一員 ロボットに頼られる家族には潤いが」です。
2022年5月6日の日本経済新聞は、これを書いています。記事は以下のように書き出しています。
☆引用
「新型コロナウイルス禍で在宅時間が増え、掃除用に購入したはずのルンバは、すぐに家電以上の存在に、カーペットに乗り上げて途方にくれたり、青息吐息で段差を越えたりするような姿がいじらしく見えた。
機体には昨年亡くしたペットの愛犬「武丸」の写真を貼り付け「たけまルンバ」と名付けた。ゴミを集める後ろをついてまわりながら「かわいくて仕方がない。家族の一員」と話す。」(参考資料1、2022年5月6日、日本経済新聞(箕輪星使)から引用)
☆解説
「ステイホーム」を促した新型コロナ禍で、ロボット(注1)と人の不思議な「共生」が広がっています。リノベーションを手掛ける「リノべる」(東京)が最近多く手掛けるのは、広めの廊下幅、段差や床のドアレールのないフラットな床、階段下やクロゼット内へのロボットが待機する「基地」スペースの確保など、「ルンバ」案件です。リノべるは、手掛けた改修工事の7割が、掃除ロボットが暮らしやすい設計になっていると言っています。
ルンバなどの累計販売台数は、2021年に400万台に達し、コロナ禍前の2018年から3割増になりました。このロボットは「あくまで掃除というミッションに向けて開発さている」と言っていますが、2021年5月の調査で、ルンバユーザーの3人に2人が「ロボットは家族の一員と思う」と回答しており、6割以上がニックネームをつけていました。なぜ、掃除ロボットに愛着を感じるのか、人に寄り添う「弱いロボット」の研究を進める豊橋技術科学大学の岡田美智男教授は、そのロボットの機能で欠けている点に、特に注目しています。
誰かを手助けしたり、一緒に成し遂げたりしたときに、人は幸せを感じることが、ロボットとの共生によって良くわかります。実際よく観察してみますと、従来のペット型ロボットに比べて、既存の生き物に模倣せず、大きな目や独特の声質で、可愛がられる存在を追求しています。
GROOVE X(東京)が販売する家庭用ロボット「LOVOT」はテレワークの中へ近づき、「キュー」と鳴いて「抱っこ」をせがみます。LOVOTや関連商品を販売する同社の売上高は、2021年10月期に、前期比の3倍に増えました。
パナソニックは、ロボット「NICOBO」を開発しました。丸い体に大きな目が特徴で「あのね、えっと」と舌足らずな言葉で話します。同社は「長期間一緒に暮らせるように、ほど良い距離感を意識した」言っています。クラウドファンデイング(注1)で320台限定で販売したところ、7時間で完売しました。(参考資料1、2022年5月6日、日本経済新聞(箕輪星使)を参照引用して記述)
☆まとめ
私の家に、掃除機「ルンバ」が来たのは、もう随分昔です。ルンバが日本に登場した第一号に近い頃です。長男が「凄いロボットが出来たよ。使ってみない」と持ってきてくれたのです。自分用の「ルンバ」を買い替えて、使っていたのを、私に譲ってくれたのです。「ルンバ」が来て、私は感動しました。「頑張るな」。「凄くねばり強いな」と思いました。私は、ロボットがこのように「凄く粘り強く、疲れない」のは、大きな長所だと思いました。この長所から、ロボットが様々な処に活用され行くだろうと思いました。この「ルンバ」は、今、400万人(台)いるのです。ルンバ達が皆で頑張ったから、こんなに大勢になったのです。
私は、「ルンバ」に愛着を持ちました。でも、最近の人達の「可愛くて仕方がない」と言っているのとは少し違うのです。
コロナが来て、人々は「スティホーム」を強いられ、皆、揃って強い「孤独感」を感じました。毎日会っていた、会社の人達と会えなくなったからです。でも私は、この孤独感に、急に襲われることはありませんでした。コロナが来た時、私は、既に83歳になっており、毎日、自宅でブログを書いていたからです。ですから、日本の働き盛りの人達のように、コロナにより急に強い孤独感に襲われることはなかったのです。
でも一方で、このことを考え直して見ますと、小さい子供が近くに現れると、「この子を喜ばせたい」と思います。結構重い仕事である「幼児と遊ぶ」ことで、高齢化で人生に後ろ向きになり勝ちな自分が、前向きになれるのです。最近、家の近くの公園で、高齢の男性が、幼児を連れた若い親子と一緒にいるのを、凄く見るようになりました。ここでは孤老だった高齢者が生き甲斐を再発見しているのです。私には、小さい孫はいませんが、もしいれば、きっと、実行しているはずです。
コロナ下での日本では、今、「ルンバ」を「可愛いと思う人達」や、「いじらしいと思った人達」が大勢いるのです。これに気がついて「キュッ」鳴いて「抱っこ」をせがんだりするロボットを開発して、大当たりをしている人達がいます。これは、人々のこの心を突いています。
私は一方で、ロボットに対して、さらにこれを越える役割を期待しています。それは以下です。
ロボットは、これまで、人間が「主人公」で、ロボットは「サーバント」でした。また、人間が「親」で、ロボットは、この上なく言うことを良く聞く「良い子」だったのです。でも、私は、これからは、一番頼りになる「相談役」になってくれると思っています。
家の中では、自分が生き甲斐を求めて生活しているとき、日常の中での生き甲斐達成を、支援してくれる相談相手になってくれるはずです。人工知能(AI、注2)、IoT(注3)を登載しているロボットがそれを可能にしてくれます。
仕事場の中にも、このような「相棒ロボット」が出現しますと、前回のブログ(参考資料2)で取り上げた「働き甲斐」改革での、最大の支援者になるでしょう。私のブログのテーマである「林業再生と山村振興」においても、著しく重要な存在になるはずです。(参考資料1、2022年5月6日、日本経済新聞(箕輪星使)から参照引用して記述)
(注1)ロボット:「ロボット」は、劇作家のカレル・チャぺックが、1920年に発表した戯曲で、チェコ語の「強制労働(ロボータ)」をもじって作った言葉とされています。名前の由来通り、その発展の歴史は、労働と切り離せない関係にありました。1950〜1960年代に、米国で初の産業用ロボットが誕生しました。世界中の工場で、人の作業を代わって行うようになりました。一方、人や動物の姿に似せたロボットも開発されるようになりました。その役割も労働に止まらなくなりました。2本足で歩く人型ロボット、本物らしいイヌ型ロボットなどが登場しました。国際ボット連盟によりますと、2019年の家庭・個人用ロボットの販売台数は2320万台です。2023年には2倍以上に伸びると予想されています。
(注2)クラウドファンデイング(crowdfunding):群衆 (crowd) と資金調達 (funding) を組み合わせた造語。多数の人による少額の資金が他の人々や組織に財源の提供や協力を行うことを意味する。
(注3)人工知能=AI(artificial intelligence):「計算(computation)」という概念と「コンピューター(computer)」という道具を用いて「知能」を研究する計算機科学(computer science)の一分野」を指す語。言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピューターに行わせる技術。計算機(コンピュータ)による知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野。
(注4)IoT(Internet of Things):様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に 制御する仕組みである。それによるデジタル社会の実現を指す。人とモノの間、およびモノ同士の間の新しい形の通信を可能にする。
参考資料
(1)日本経済新聞、2022年5月6日。
(2)椎野潤(新)ブログ(436) ポストコロナの「新しい動き」(その1) 企業の「働き方改革」に続く「働き甲斐改革」は 待ったなし 2022年7月15日
[付記]2022年7月19日。
[追記 東京大学名誉教授 酒井秀夫先生の指導文]
内装もロボットを想定する時代になりました。かつてよくなついていたネコがいましたが、家の中に自分の居場所を持っていました。ロボットにも基地が必要になれば、住宅の設計もそのように変わっていくことが予感されます。ウクライナから着の身着のままで逃げてきた子どもが、避難所でぬいぐるみをもらってうれしそうにしていた映像がありました。ロボットも生き物もぬいぐるみも、そこはかとない癒しがあります。林業も、苗木や道具を運ぶ「相棒ロボット」が後ろからついてきてくれたり、シカを追い払ってくれたりすると、山に行くのが楽しくなるのではと思います。
酒井秀夫